第29話 私の決戦前夜

4/14 3:00 西永都 自宅


「最寄り駅にホテルとったから、何かあったら呼べ」


 宮台さんからのメッセージが入っていたため、駅には近づかず、タクシーで隣の駅まで向かった。もっと変な高揚感があるかと思っていたけど、気持ちは落ち着いていた。私は夜が明ける前に、目的の物を学校と研究室からそれぞれ盗み出した。


 一振りの刀とナイフ、一錠の錠剤。そして私の肉体強化の薬剤。学校を出る前に、図書室にも忍び込んで、いくつかの文献を検索する。魔薬についての文献はデータベース化されているためPCで閲覧できるのだが、研究室では麻薙さんと鉢合わせする可能性がある。帰宅後は錠剤はピルケースに入れ、刀を抱いて少し眠った。意識は途切れないような薄い眠りだが、疲労は少し和らいでいく。しばらくしてそれをやめた後、私は意識を空にすることに努める。携帯が鳴った。


「はい、西永です」

「ええ。わかりました。行きます」


 手短に会話を済ませた後、私は部屋を出た。

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