第12話 ラスボス始動
4/13 13:00 xx光学 千葉県 某所
「あははははははは。いやー笑った笑った。まったく、海の一部を切り取って運んで使うなんて、規格外だなー」
僕らは、送り込んだ能力者に持たせた(勝手につけた)カメラで戦いを見学していた。少し後ろから映像を見ていたキミドリが言う。
「海外で暴れまわっていたときは、宮台は天候を操るだとか、宮台に逆らうと神の裁きに合うとか言われていたようじゃ」
「ま、それくらい僕にもできるけど。能力見たくて雑魚をけしかけてみたわけだけど、やっぱり強力だ。頭一つ抜けてるよ、彼の能力」
パンっと膝を打つ。
「さて、どっちが主人公かそろそろ決めようかな」
「頼んだぞ、光学」
「ああ。任せといてよ」
「ところでさ、あの雑魚が送ってきたデータ見たんだけど、あの女の子ってやっぱり【第二世代の薬剤師】なの」
「なんのことじゃ」
「僕に隠し事かい? まあいいや。とりあえずは【黒の薬剤師】と戦って、そのあとだ」
やっと見つけた同類とのコンタクトは、後でいい。僕は真っ白なプラボトルから大量の白い錠剤を出して飲み下した。
「一回で確実に殺せよ。麻薙は危険な女じゃ、あの2人を逃せば必ずお前への対策を取って復讐しに来る」
「わかってるって。だからわざわざあいつをけしかけたんだろ」
さっきの戦いで彼は注射剤を使ったようだった。注射薬は、基本は作用発現までの時間が短く、よって能力が使える時間も短い。持続点滴でもしない限りは、すぐに抜けていく。だからもうそれほど強い能力は出せないだろう。さっき内服もしていたから注射は緊急用。となると普段から何本も持ってはいないだろう。全力の敵と遊びたかったが仕方ない。マネージャーの意向なら聞いておくのが正しい。
「連戦は申し訳ないけど。でも」
僕は呟く。
「海外にいたときもそんなもんだったろ? 宮台くん」
薬剤の服用から十数分。次第に血中濃度と共に高まっていく能力を肌で感じる。
さあ始めようか。
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