第4話 迷路と頼り

少し飛んで、10日目。

かつて風通しのよかったダンジョンは、


入口

迷路(罠なし)

広場

コア(そして俺)


と、迷路を取り入れることで随分とダンジョンらしさを増した。


とはいえこれは、現状ただの時間稼ぎ用だ。

入口からそのままコアを壊されないための邪魔としてしか機能しておらず、迷いやすい道が続くだけ……文字通り”迷路”となっている。


もちろんそれではいけないと分かっている。


では何故罠を仕掛けていないのかと言うと、理由は単純で、DPの消費以外ではダンジョンの壁や地面に穴を掘ることができないからだ。

手作業では落とし穴すら掘ることができず、当然それより複雑な罠も作れない。


初っ端からゴブリンのような魔物頼りにしたのは結果として正解だったかもな。


そんなゴブリンの数も今や80体。

途中で新しく生産渦を設置したので増える速度は倍加した。


ちなみに生産渦は重ねられるので、同じ場所から10体出てくる形だ。

いずれは一箇所から魔物の軍団が出てくることになるかもしれない。夢がある。


「次はゴブリン以外を生み出すかな。ポイント的に、最下級になるけど……ッ!?」


そこまで口にしたところで俺は作業の手を止めた。


俺の代わりに探索をさせているゴブリン達。


そのうちの1体から、報告が来たのだ。

グギャグギャばかりしかない彼らの言語だが、ダンジョンから生み出したからかマスターの俺には内容が分かる。


だからこそ目を見開いた。その報告に。



――人間を発見した


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