第3話 周辺の探索、軽い実験

ダンジョンマスターとしての3日目。

今日はゴブリンたちへの指示が一通り終わったので、周辺の探索やいくつかの実験を行った。


まずは、ダンジョン外の探索だ。俺のダンジョンはまだ小さな状態で、構造は以下のようになっている。


...

入口

↓(短い通路)

広場

コア(そして俺)

...


こんな小さなダンジョンの主としては、周辺に脅威が潜んでいた場合、それは致命的な問題になりえると思ってる。


ゴブリン(最下級)より強い魔物など無数に存在するし、スキル一覧を確認した限り人間もいるだろう。もし周囲に人間や強力な魔物がいるのなら、事前に知っておきたい。

対策に時間を裂けるからな。


しかし幸運なことに、探索を行った結果、脅威どころか生き物自体ほとんど見かけることはなかった。初見だったのは地面を這うスライムくらいだ。見た目の不気味さから、手は出さなかった。



次に、実験についてだが、これは単なる採掘行為だ。ダンジョンがあるとされる山の外から穴を掘り、ダンジョンに繋がるのか確認をした。


コアからの情報ではダンジョンは異空間であるため入口以外からの侵入はできないとのことだったが、どうしても心配だった。

結果として繋がることはなかったが、不安要素が一つ消えたのでよしとしよう。


コアの部屋に侵入されたら終わりなのだから、今後も石橋を叩いて渡るつもりだ。

実は、ダンジョンマスターはコアを壊されたら死ぬからな……その逆はないけど。



さて、場面はダンジョン内に戻る。現在、ゴブリンの数は合計で15体だ。『肉体性能強化』を手に入れたゴブリンの数は、天才ゴブリンであるテンゴブを除くとわずか2体。

たった一日の鍛錬でこの成果は、順当なところかね。


ちなみに、テンゴブは技術系のスキルである『長剣術』を会得し、今は再び肉体を鍛えている。他のゴブリンたちもひたむきにトレーニングを続けているが、やはり才能が違うようだ。


どちらも大切だが、テンゴブにはある程度融通を利かせてもいいかもな。


そんなことを考えていると日付が変わり、ゴブリンが5体、生産渦から産まれた。

彼らは俺が何も言わなくても鍛錬に参加し始める。状況の把握はできるみたいだ。



「こんな日が、続けばいいな……」


そう、ふと思う。刺激を求めて始めたダンジョンマスターだが、ゴブリンにも愛着が湧いてきた。敵が来たら戦わせるし、その時は死者が出るはずだ。きっと辛いだろう。


そのために。


「強くなれ、我が子供たちよ。」


俺も俺で、魔物以外のダンジョン要素を増やすかね。

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