第2話 トレーニング

2日目……といっても俺がこの世界に来てから10時間ほど。初めての夜明けだ。

ゴブリンの数は10体。内訳は渦を設置時(5体生産)と午前0時(5体生産)。

残りDPは340。


この迷宮は空間に満ちる生命力や魔力を吸収しDPとする。

元々空気のように存在する魔力から僅かに溜まったこの340……どうするか。


考えた結果、広場を作った。

まだ1階層であることもあってか必要なDPは少ない。たった300DPで学校の校庭半分くらいのスペースができた。


これくらいあれば充分かな。


「よし、じゃあお前ら。まずはとにかく体を鍛えろ。分かるな? 筋トレだ!」


そう言うとゴブリン達はワラワラと動き始め、俺の言う通りに彼らの思う筋トレを始めた。


文句一つ言わない。


そんな彼らを見ながら俺はコアで箇所を見る。スキル一覧だ。

それはDPを使って獲得できるスキルの一覧表だが、今の俺には高価すぎて手が届きそうにない。当然、ゴブリン達に与えられるものもない。


だが、スキル名だけでも分かれば獲得方法の予測はつくというもの。


彼らを鍛えるのはそれが理由だ。

鍛錬にはスキルが結びつく。

今できる唯一の戦力増強がこれだった。


「色々教えてやらないとな。」


鍛えようとはしていても所詮最下級の魔物。

筋トレが何なのかをハッキリ理解しているわけではない。


現に今、彼らは適当に動きでやった気になっているだけだ。ここは筋トレ歴1年の俺が、一肌脱ぐとしよう。










鍛錬を初めてからわずか2時間ほど。日が頂点に達する前に、いきなり筋トレ効果が反映されたゴブリンが現れる。


――――――――――――――――――――

ゴブリン

レベル:1

スキル:肉体性能強化

――――――――――――――――――――


天才ゴブリンだ。確かにコイツは最初から頭一つ抜けていた。


どうしよっかな。スキルが手に入った天才ゴブリン、通称テンゴブ。


このまま『肉体性能強化』の熟練度を上げていってもいいが、一度、次のステップを試すのも悪くない。


技術の獲得だ。


10DPで召喚できる木製の武器に限り、好きなものを与えることにする。


俺が武器の種類を説明し、あとはテンゴブの直感に任せよう。


鎖鎌やモーニングスターなど一癖ある武器も紹介したが、結局テンゴブは長剣を選択した。


木剣を召喚したあと手に取らせ、感触を確かめさせる。


……なんか、結構様|《さまになってないか?

師のいないこの空間で技術を獲得できるものなのか疑問は残るが、それでも剣に慣れるだけでも違うだろう。


まぁいいや。とりあえず頑張れよ。


お前が俺の生命を守ることになるんだから。

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る