Case3-40 少女

 どれほどの時間が経ったのだろう。

 ふと、少女の瞼がぱちりと開かれた。

 角端でうずくまっていた姿勢のまま目覚めた少女は、すぐには今の状況を理解できずにいた。

 体を少し動かす。額に背中、折りたたんでいた脇や膝裏に、じっとりと汗をかいている。それと気を失う前に比べて、体のあちこちに、違和感程度の痛みがある気がする。

 気を失う前……「咆哮」「男達の声」「母のこと」「警報」――その瞬間、少女の脳裏に、何が起こったのかが一斉にフラッシュバックした。

 だからこそ、改めてこの状況に困惑せざるをえなかった。

 辺り一面は、まるで先ほどの出来事がなかったかのように静かだった。丁度男達が来る前、少女が一人だった時と同じ静けさだ。

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