Case3-11 少女

 こちらを覗き込んだ少女の母の表情が、丁度安堵に包まれていくところであった。

 辺りが明るい。廊下の窓より日の光が差し込んでいた。

 母の後ろで、祖父がVブイ-リングで通話をしていて、救急車を呼んでいる。

 母と祖母に支えられつつ、少女は自ら体を起こす。痛みというほどではないが、体全体に違和感を覚えた。特に右の頬あたりがじんわりとしている。

 それもそのはずで、少女の右頬は痛々しい青痣あおあざによって変色してしまっていた。


「痛いよね。今救急車呼んでるから。大丈夫だからね」


 母はそう言って痣をそっと撫でると、少女に何があったのかを尋ねた。

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