Case2-7 ノバレス・バクトロ

 この研究所はどうなっていくんだろうって、なんとなく思った。僕にはもう関係ないことだけどね。どっちにしろ。

 何度トラブルが起きても、絶対に公にはならずに、成果が出るまで研究が続けられていくんだきっと。

 今もね。

 それほどの価値があるんだ。僕の研究なんて足元にも及ばないほどの。なんとなくわかる。

 ここを出て行く前に、その一部でも携わりたかったな……。

 はは笑。僕ってなんかちぐはぐだな笑。


 ……

 ……


 いよいよか。


 この時にちょうど、エレベーターが停止した。

 停まっちゃったんだよ。降りてる途中で。

 エレベーター内がざわついた。みんな不安だよね。僕もその中の一人だった。空気を察したのかな。いや、今思うと人間じゃ感じ取れない何かを感じたのかもしれない。虫かごの中で、アイディーが急に暴れだした。


 そして、ガッタンッ!みたいな、明らかにまずそうな音が鳴った瞬間、エレベーターの中が真っ暗になった。

 悲鳴とか上がっちゃってさ。余計怖くなっちゃうからやめてほしかったよほんとに。

 非常灯が点くはずなんだけど、なぜか一向に暗いままだった。


 そしたらさ、急に下の方からもの凄い衝撃がぶつかってきたんだよ! 一瞬エレベーターがフワってなった気がする。その衝撃のせいで床がななめっちゃってさ! 床っていうか、エレベーター自体が傾いちゃってね?

 もう阿鼻叫喚ってやつだよ! 僕なんか頭真っ白で絶句笑。

 いや、笑い事じゃないんだけどね?

 そしたら次はギギギギッって音が鳴り出して! ドラマとかでよく鳴る、でっかい機械が壊れる直前みたいな! 軋む音! あれほんとに鳴るんだよ!

 あ、そう、つまり壊れちゃってさ! 頭真っ白だっていうのに急にきたよね。いきなりだったよ。

 エレベーター、落ちちゃったんだ。

 今度はちゃんとわかったよ。体がフワッと浮いた。

 そこからは一旦記憶飛んでる。

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