Case2-4 ノバレス・バクトロ

 だから、僕がこれ以上ここにいるのも意味は無いだろ? クビとは言われてないけど、ほぼ『用済み』みたいな扱いっていうか。

 まあそりゃ、まだ頑張ってる人達は全然いるよ? でも僕のバッタ発電はちょっとね。いまだに原因不明ってのが…。


 まあそういうことだから、これから僕は古巣のTOKYOMIT大学のラボに帰るってわけ。


 ……


 TOKYOMIT大学のラボに帰るってわけ。


 ……


 はぁー…TOKYOMIT大学も知らないのかよ。




 さて、そうこうしている内にこの頃の僕の準備ができたみたいだ。

 ぼーっとしてる笑 恥ずかしいな、これブイで時間見てたんだよ笑。

 ここを出る途中で桝添ますぞえさんにあいさつしようかなって。一番お世話になった人ね。まだいるかなって時間を確認してたんだ。本当は春氏浦はるしうらさんにもあいさつしたかったけど、まあ無理だろうね。諦めた。


 そうして僕は、白衣を着たまま、トランクとドローンケースと、虫かご一個持って自分のラボを出たんだ。


 虫かご気になる?

 これ、バッタの「アイディー」。

 こいつだけ実験用バッタの中でずっっと変異しなかったんだ。なんか、特別な感じがしたっていうか、愛着わいちゃって。

 へへ笑 こいつ他のやつより口ちっちゃいんだ笑 かわいいだろ?


 この時もかごの中でピョンピョン跳ねてさ、僕のこれからを応援してくれたんだ。そんなアイディーを愛しく想いながら桝添さんのとこに向かおうとしたんだけど、


 そこで警報が鳴ったんだ。


 びっくりしたよね。

 警報が鳴ったことにももちろん驚いたけど、それだけじゃないんだ。

 この時所内中で鳴った警報は普通鳴らないっていうか、鳴っちゃいけないっていうか、

 あー、鳴っていい警報とかもないけど笑。

 とにかくこの警報は特殊なやつ。さっき少し話した、『レイカイ』で、何かあった時に鳴るやつだったんだ。

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