第13話 図書館
翌日、太陽が沈んでから、私は
私と
でも、
「
「ヒロコちゃん、どうしたの?今日は配達の日じゃないでしょう」
不意に現れた私に戸惑った様子ではあったが、
「
「確かに、近頃は時間に余裕がありますよ。でも、出掛けるってどこへ?」
「私の通っている大学の図書館へ行くの。ウチの図書館には、
もう少し難色を示されるかと心配していたのだが、
「バスって、交通系 I C カード で料金を払えるんですよね。僕、持っているんですよ。コンビニの支払いにも使えるからって、住職の
とか言って、結構はしゃいでいる。私は、こんな様子の
バスに乗り込んだ私たちは、2人掛けの席に腰掛けた。
「バスって、車高が高いんですね。窓も大きくて、開放感に
「確かに、この路線は狭い道も走るわね。もう少し行ったら広い道に出るから安心して」
「
「わかりました。合図して下さいね、ヒロコちゃん。でも、降車ボタンを押すだけなのに、どうしてそんなに…」
「今よ!押して!」
「はいっ!」
【ピンポーン】
良かった…。
「ヒロコちゃん。降車ボタンを押すだけなのに、どうしてそんなに焦らなくちゃいけないんですか?」
「
バスを降りると、目の前に大学がある。緩やかな坂道を上っていくと、その先には校舎や図書館が建っている。校舎は歴史を感じさせる
「ヒロコちゃん、
「大丈夫。この図書館はね、一般に開放されているの。学校関係者でないと本を借りることは出来ないけど、館内での閲覧はみんなに許可されているの。入館の時に、名前と住所と電話番号を書かなければならないけどね。だから、心配いらないわ」
図書館の入り口にて。
私は学生証を提示して、専用の通路から館内に入った。
「
「いや、本名を書いたので気付かれてはいないと思いますよ」
「本名?…そうか。
「
「
今は物事を調べるのに便利な時代だから、その気になれば色々なことを簡単に知ることができる。私は、
「帰国してすぐに、先代の
2人で館内を歩いて、とうとう目的の場所にたどり着いた。
歴史関連の書籍、作家の評論、小説など、内容は多岐に渡っていた。軽く20冊はある。貸し出し中のものもあるだろう。日本に帰国後は、仕事一筋だったことが察せられる。
「わぁ、たくさん置いてくれていますね。嬉しいなぁ…。でも、何だか、自分が関わった本だという実感が湧きませんよ。こんな立派な建物に収められているからかな…」
「ねぇ、これを見て。これは、
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