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残っていたレナウン型戦艦〝レパルス〟の追撃に取りかかったが、再び天候が悪化してしまった。
戦艦〝プリンス・オブ・ウェールズ〟がイギリス艦隊の盾となり、逃がしたと言えるだろう。
日が変わって天候が回復。夜間ではあるが月も出て明るくなったので、手持ちの航空機を持って偵察を行った。
しかし、シンガポールへ退避すると思われたイギリス艦隊は、見つからない。
日の出を待って、再度偵察を行った。
この間にも、近藤中将が率いる南方部隊本隊はさらに南にさがり、シンガポールの北東、アナンバス諸島まで進軍していた。すると、ついに〝愛宕〟の偵察機が発見した。
場所はシンガポールよりも北、クアンタン沖にいるところを発見したのだ。
予想よりも西にいたが、急行すれば午後には捕らえる場所だ。しかも、イギリス艦隊はこちらに向かってきていると言うではないか。
「ジョンブル魂、ここにありか」
近藤中将は、彼等の動きを正々堂々と戦う構え、と捕らえたのだろう。のちに分かったことだが、イギリス艦隊は機雷原を避けるため、一旦北東へ向かい、それから南東に針路をとってアナンバス諸島の東方をまわってシンガポールへ向かう予定だったらしい。
たまたま、日本の艦隊がそこにいたのを、いいように捕らえたようだ。
しかし、イギリス艦の運命は変わらない。
艦隊決戦で……とはいかなかった。機雷原でも、日本艦隊でもなく、もうひとつの戦力が彼等を襲った。
ずっと偵察に徹していた第一航空部隊が、ついに〝レパルス〟を発見。
一〇日の午前中に飛び立ち、午後一時半過ぎに殺到した。
それは、南方部隊本隊が到着する寸前であった。
第一航空部隊の一式陸上攻撃機、九六式陸上攻撃機の四〇機近い一団が〝レパルス〟一隻に襲いかかっていた。
航空機支援のない戦艦は対空砲火の奮戦も空しく、立て続けに魚雷や爆弾にさらされた。
そして、気がついた時には彼女の姿は海から消えてしまった。
「戦艦の時代は終わったのかもしれない」
航空攻撃により姿を消した〝レパルス〟を見ていた近藤中将は、そう呟いた。
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