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 一九四〇年(昭和十五年)一〇月――。


(今回の起工式は静かなものだ)

 白鳥造船少佐は呉工廠で新たな艦の起工式に参加していた。

 最近は機密保持のもとで、式典も最少人数で済ませている。

 今回の建造される改駿河型超弩級戦艦……四六センチ砲三連装四基の戦艦建造には、さらに厳しくなっていた。

 日中戦争を契機に、米英の日本に対する対応も厳しくなる中の建造だ。

 情報も物資も厳しい状態の中、果たして戦艦が必要か? と意見を述べるものがいる。

 これが最後の戦艦の建造かもしれない……そんなことも聞かされた中での起工式だ。

(やはり、木戸には俺か作った軍艦に乗せられないのかもしれない)

 そう思いながら、粛々と式典の進行を見続ける白鳥であった。

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