4・二番目の長女

●△□

 わたしは、一体どうなってしまうのでしょうか?

 解体されるはずなのに、どんどん新しい部品が継ぎ足されていきます。

 真新しい機関が備え付けられ、気が付けは切り離されたはずの艦尾が、新しくなって付けられたのです。

 そして、わたしのじようかんぱんに初めてが取り付けられました。


 主砲塔です。


 紛れもなく、わたしに付けられるはずがなかった主砲塔が備え付けられました。

 しかも、四基。

 計画ではわたしには、三基しか詰めなかったはずです。だけれど、艦尾を切り離し改良とともに延長工事が行われ、前後二基ずつ。計四基の主砲塔がつきました。

 艦尾に付けられたのは、それだけではありません。

 航空機を打ち出すカタパルトも、クレーンとともに新調されました。なぜか航空機や内火艇カッターを格納する設備も付いています。


 どうしてそんなモノが必要なのか?


 疑問に思っていると、初めて見るがわたしのところへやってきました。


『こんにちは、お姉様。特別なモノをお持ちしましたわ』

『特別なモノ? なんでしょうか……あッ! それは!』

わたくしの名前は〝かし〟と申します。お姉様達にこれを運ぶのが役目ですわ』


 彼女から降ろされるのは、初めて付けられた主砲塔に添え付けるための、真新しい砲身。

 でも……。


『わたしには少々大きくありませんか?』

『そんなことありませんわ。あら、ひょっとしてご存じない?』

『何のことかしら?』

『お姉様はこれを装備なさいますのよ。今、入渠しているのもそのための改装ですわ』


 自分が何をされているのか、知らなかったなんて……恥ずかしい!


『他のお姉様にも届けなくてはいけないので、失礼しますわ。ごきげんよう』


 他の子? と言うことは、わたしの妹たちにも改装これが施されているという事かしら……。

 解体を待つだけの鉄の塊と思っていたわたし達が、生まれ変われるなんて!

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