●△□

 ………………。

 …………。

 ……。


 わたしを起こすのは、誰?

 どれだけ眠ったのでしょうか?

 二年? 三年? もうどうでもいいか、そんなこと……。


 わたしは、小さな曳舟彼女達にひかれるまま、乾ドックに入りました。


 そうか……ついにわたしにも、解体される時が来たのですね。

 それとも〝〟お姉様のように、標的艦実験台になるのかしら?

 わたしは、なすがまま、解体されるのを待つだけです。


「……せいくうけんかんたいけつせんのため……」


 初めて聞く言葉です。

 艦尾が切断されました。

 本当は後部主砲塔が設置されるはずだった場所が、わたしから無残にも切り離されました。

 残っていた機関が抜かれました。

 まだ、わたしを作った時に新調したばかりなので、どこか別の艦艇を動かすのに使うのでしょう。


 でも……何かおかしい。

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