第29話
朝、目が覚める。
目を見開いた先にあるのは天井。
「知らない天井だ。」
と何馬鹿なこと言ってるけど。
言ってみたいセリフランキング上位にあるのは違いない。
それにしても豪勢な部屋である。
西洋風の洋館であるのはそうなのだが、ここの創設者がイギリスからの移住ということもあって宮殿に近しい感じ……。
と言っても資料でしか見たことないけどね。
「おはようございます。」
「あ、あぁ……。おはよう……。」
水色の髪に、快晴のような蒼い瞳。
それと、クラシックメイドではなく、太ももの半分の丈のミニスカートメイド服を着た少女。
「咲菜さん……でしたっけ……?。」
「はい。本日から岩波ユイさんの身の回りのお世話をすることになりました。白露咲菜といいます。気軽に咲菜とお呼びください。」
「そ、そう。」
うちの実家もそうだけど、こうゆうのって雇用とかどうしているのだろうか?。
まあそんなことはいいか。
「えっと……。それじゃあ着替えをお願いできるかしら……?。」
「はい。おまかせください。」
少し礼をした後に、僕のパジャマを脱がして、下着を着せてもらい、白いブラウスシャツに灰色のジャンパースカートを纏った。
他人に着替えさせてもらうなんてそうそうないだろうなぁ……。
「ありがとう……。」
「はい。こちらこそ。」
うーん。
ぎこちないな自分……。
まあでもこういうのも良い体験ってことで。
着替えた僕は、咲菜と一緒にとある一室に向かう。
そこにはどこの家庭にもありそうな一般的なテーブルにソフィア、アリスさん、そしてソフィアの姉のレミアさん。
薄く白っぽい紫色のショートボブヘアに翠色の瞳。
「あっ、おはよう。」
「おはようございます。」
少しダウナーっぽい声で挨拶された。
まあ初めて会ったし、特に大丈夫よね……。
席は僕の右にソフィア、目の前にレミアさん、その隣にアリスさん。
それとは別のテーブルに使用人たちが座ってる。
「では、いただきます。」
「「「いただきます。」」」
使用人を含めたみんなで朝食を食べる。
これがアリスさんの方針らしく、ただでさえ忙しい家族が一緒にいられるようにとなったみたい。
ちなみに父親の方は、東京の事務所に単身赴任のため今日はいない……。
「ねぇ、ユイちゃんはどうここ?。」
「??。」
「来てまだ初日なんですから無理言わないでください。」
「あら、ごめんなさい。」
「は、はい?。」
「ほら、混乱しているのじゃないですか。」
とこんな感じで雑談が始まる。
こんな状況でもレミアさんは淡々と朝食を食べている。
「ご馳走様でした。」
「あらいいの?。もう少しゆっくりでいいのに。」
「まだまだ仕事があるので。それじゃあ。」
レミアは食器ののったトレーをカートまで運んだ後にドアへ自然と向かって退室した。
「で、ユイはどう?。ここ最近。」
「どうと言われましても……。」
「まあそうよね。ゆっくりしていってね。」
「は、はぁ……。」
アリスさんはなんか掴めない人だなぁ……。
お母さんはこんなのにどうやって仲良くなったのか気になるけどね。
そんなこんなで朝食、少し甘いスクランブルエッグとソーセージ2本、トーストした食パンにレタスサラダとコンソメスープを食べ終わった。
付属としてバターと各種ジャムはあったし、ドレッシングも多かった。
それと、朝に飲むほんのり甘いピーチティはなかなか良かった。
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