桜花

三寒四温の寒がなかなか終わらなくて、桜は平年より少し遅れて咲いたが、その後の1週間で急に気温が上がり、辺り一面ピンク色が広がった。静かに花の写真を撮る人、陽気さに浮かれ騒ぐ人、様々な人たちが街に溢れかえった。


「お姉ちゃん、外の桜見た?夏、あんなに緑の葉っぱで覆われていた桜は、全く変わってピンク色になったね。綺麗だなあ。僕たちは何か変わっただろうか?」

「相変わらず目覚めが早いよね、あんたは。外の景色なんてまだ見てないし、なんか体中が硬くて動きたくないな……。」


「冬の間眠りすぎて体が凝ったんじゃない、お姉ちゃん」

「うるさい!そんなことより私は雨を待ってるの。『雨が止む頃、あなたたちは雄叫びを上げる』。ウツミ先生の言った、私を変えてくれるこの雨のためなら、どれだけでも待ち続けられる!外はうるさくて仕方がない。私はもっと奥に居るからあんたは勝手にしな!」


「待ってよ、お姉ちゃん……!」


(春が終わり、次の季節に続く)

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