秋雨

秋雨前線が列島に留まり、その秋は長く冷たい雨が続いた。


「お姉ちゃん、起きてる?」

「あんたのせいで、起きたよ!こんな暗いのに起こさないで!」


「ごめんね。でも、ちょっと苦しいんだ。暗いのは怖くない。怖いのは、雨。そう、僕の周りに水が纏わり付く気がするんだ。冷たく締め付けるような、水。」

「辛抱しなさい!ウツミ先生も言ってたよ!『寒さにも、冷たさにも、耐え忍びなさい。雨が止む頃、あなたたちは雄叫びを上げる』って!まあ、私は女なんだけどね。 」


「分かったよ……。もうちょっと我慢するよ。お姉ちゃんは苦しくない?」

「私はあんたと違って、自分の居場所を最適化してるから。あんたも世界は自分の目で見ないと分からない、って言うなら、見た世界に敏感になって対応しなさいよ!」


(冬に続く)

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