第6話 中学校の記憶
だんだん思い出すのがしんどくなっていく半生だ。
都会の私立中学に合格し、小学校を卒業すると同時に学生寮に引っ越した私。
しかし、その先でも私には受難が待ち構えていた……。
女子校の学生寮、つまりは女子しかいないわけであるが、閉鎖的なコミュニティではどうしても女子の嫌な部分が出てくることになる。おまけに「学生自治」を掲げている学生寮である。どんなことになるか、だいたい想像はつくと思うが……。
私が入ったのは四人部屋。先輩後輩が必ずセットになる。
ちなみに四人部屋、二人部屋、一人部屋が用意されており、人数が少ないほど寮費が高くなるシステム。病院の個室みたいだな。
四人部屋は二段ベッドが二組と、机が四セット、クローゼットが四セットで各自に与えられている。
このときの私の相部屋の同級生はかなりの変人だった。私が言うのだから相当の変人だ。
私に「ハト」という妙なあだ名を付け(ちなみに私の本名には一切かすってもいない)、私の机の引き出しを勝手に覗いて中身を机の上に置いたり、クローゼットを勝手に漁ったりする。
やめてほしいと言ってもその奇行は止まらず、寮母に相談しても解決しない。私のストレス指数はいきなり跳ね上がる。
さらに、先輩もきつい性格をしており、姉に似てズケズケとトゲのある言葉を投げつけてくる。
こんな人達と毎日顔を突き合わせて生活するさまを想像してほしい。逃げたくなる。
寮生活では自由にアニメも見られない。食堂にテレビはあるが、見られる時間は限られているし、夕食時にはニュースしか見られないルールだ。もちろん、部屋にテレビは置けない。
学生の年頃のオタクがアニメや漫画に触れられない期間はなかなかキツい。当時はスマホも存在せず、アニメの配信などなかったし、そもそも携帯すら持たせてもらえなかった。
肝心の学校生活でも、ガキ大将みたいなクラスメイトの女から嫌がらせを受け、だんだんストレスから幻聴が聞こえ始める。
ストレスでおかしくなった私はだんだん自分の殻の中に引きこもり、脳内で作った二次元のキャラと会話するようになる。
不思議なことに、テスト中に二次元のキャラに答えを聞くと教えてもらえるようになった。まあ、自分の記憶をキャラに紐づけて引っ張り出してもらってるようなものだろう、という解釈をしているが。
こんな調子でだんだん様子がおかしくなっていく私を、長期休みに気付いた母がメンタルクリニックへ連行した。
母の話では、ブツブツと独り言を呟いたり、虚ろな目で何もない空中をぼーっと眺めているというのだから、傍から見たらかなり異常な状態だったのだろうと思う。
診断結果は統合失調症。「エスカレーター式の学校だから自動的に進学できるだろう」という理由で中学二年の途中から卒業まで半年ほど入院することになる。
次回は精神病棟でのお話。
〈続く〉
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