第4話 兄弟の話

 前回は父と母の話をした。

 今回は兄弟の話をしようと思う。


 まずは姉の話。

 姉は父の怪物性と母の気の強さを色濃く受け継いだ長女である。

 私とは年子、つまりは一歳違いの姉妹だ。

 年が近いがゆえに、この女が一番私の人生にまとわりついてきた。


 小学校に入学した途端、教師をいじめ、喧嘩三昧で舎弟を作ったりとやりたい放題。同じ小学校の私までもが何もしていないのに彼女の舎弟に怯えられる始末である。

 喧嘩っ早く、口より先に手が出るタイプ。そのうえ口も達者でよく汚い言葉や脅し文句が飛び出してくる。男子児童も教師もタジタジである。


 そして、私よりも絵が上手かった。

 それを鼻にかけて、絵があまり得意でない私や弟をよくバカにしてきた。


 私が「この絵、ちょっと上手く描けたな」と思ってハサミで切り抜いていると、「その程度で上手いと思ってんの?」と鼻で笑われたのが、今でも忘れられない。

 姉の影響で、「絵が上手いやつは強くて偉くて何をやっても許される」という歪んだ価値観を植え付けられた。


 兄弟喧嘩においては飛び道具を得意とする。

 要するにティッシュ箱やらテレビのリモコンやらを投げつけているのはコイツである。

 そして、人の髪の毛を引っ張り、床を引きずり回すのが得意技。今でもトラウマになっている。


 ちなみに趣味は富士樹海の自殺遺体写真の鑑賞という悪趣味極まりない女である。

 その他の悪事としてはホラーが苦手な私をお化け屋敷に引きずり込む、ホラーゲームを無理やりやらせるなどが挙げられる。


 現在、姉とふたりで暮らしているが、父の影響かヘビースモーカーに変貌してしまっており、タバコの臭いに私はすっかり辟易している。


 姉がこの家を出ていくか私が出ていくか、とにかくひとりになりたい今日このごろ。


 次に弟の話。

 弟は、小さい頃は私に懐いてくれていたように思う。

 よく好きな小説をおすすめしあっていた記憶がうっすらある。

 が、いつからか女嫌い……というか姉妹嫌いになり、冷戦状態になっている。

 最近は帰省してくることもなく、どこか都会で仕事をして暮らしているようだ。


 弟はあまり絵が得意ではなく、姉にバカにされるのでやがて絵を描かなくなった。

 というか、どれだけバカにされても絵を描き続ける私のような人間が異常なのだと思う。


 弟の連絡先も知らず、帰省もほとんどしないし仮に帰ってきたとしても会話も関わりもないので、私にとって弟の記憶は薄い。


 ただ、有名大学を卒業しており、おそらく兄弟の中で一番頭がいい。

 幸せに暮らしてくれたらと思う。


 最後に妹の話。

 妹は私よりも姉とつるんでいることが多い。

 妹も絵が上手いので、二人でこぞって私をコケにしてくるのだ。

 実際、妹は現在、絵で仕事をしているようである。

 彼女も都会に行ってしまったので詳しいことは知らないし興味もない。


 というか、私が家族にあまり興味関心を持っていないので、両親や兄弟の誕生日も年齢も知らない。かろうじて姉が一歳違いなのでそこだけ分かる程度である。

 母親が「永遠の二十八歳」を名乗っているので、そういう書類を書くときには「二十八」と書くしかない……というのは冗談として。


 実際、家族の年齢を知らないと書類を書くときに不便だ。毎回聞いても覚えられない。よほど関心がないのだろう。


 私にとって「家族の絆」を感じるシーンは滅多にない。

 全員個人プレーで、協力し合うこともない。

 そんな状態の家庭が崩壊せずに済んでいるのは、夫婦仲がいいからだろうか。よくわからない。


 さて、家族の話はしたので、次回から小学校の記憶を紐解いていこうと思う。


〈続く〉

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