幕間
第49話 幕間
(貴族の家ってどうしてこうもムダに広々としているのかしら)
カリーン・ドゥーヴは
美しい裸体をほうり投げるように寝ころんでいた。
荒々しいだけでつまらない
(大きくしないと小さく見られるから?
首だけ横にむけると、そこでは部屋の主がベッドの
シルクのガウンを
それなりに
高貴な血筋に生まれ、高貴な身分にあり、容姿もすぐれ、おそろしく巨大な屋敷に住んでいる。
しかしSEXはヘタだ。
(この男って、国王の予備という価値しかないのかもね)
つまらない夜の供をさせられた代償として、男、つまりアルフレド・ドルトネイ公爵は情け
「……例の件はどうなっている」
ドルトネイ公爵は紫煙を吐きながらカリーンに問うた。
「どのことでございましょう?」
「あれだ、お前の仲間の、ブラナとかいう司祭がむかった連中の話だ」
「ああ……」
『
どこかの田舎町で負けて逃げてきた彼は、身を隠す意味もあって今は『妖精の国』で外交工作をおこなっている。
「妖精族の長老たちはみな
彼らを決起させるにはまだ時間がかかりましょう」
「急がせろ。
(
カリーンは闇の中で冷たい視線をおくる。
この男は自分が無駄使いの天才だということを理解していない。
たんに巨大なだけではなく、建材や装飾にも最上級のものばかりそろえて建てさせた『住む財宝』と呼べそうな建築物である。
当然アホみたいな巨額が投じられている。
資金はもちろん今は亡きマルカム準男爵と、公爵領にすむ善良な市民たちの血税だ。
マルカムという便利な財布を失ったこのバカ公爵がつぎに欲しがっている財布は、グレイスタン王国の国庫だった。
こんなバカが王になれば、あっという間にこのグレイスタン王国は
「
ご安心くださいませ。
そうささやきながら、そっと公爵の背中に身をよせる。
(あんたがこの国を
と心の中でつぶやきながら。
「カリーン!」
公爵はガバっとふり返ると、そのまま彼女を押し倒した。
休憩時間は終わりらしい。
不用心にも火のついたままの葉巻を
「こ、公爵様、葉巻を」
「よい、お前を求める熱き想いにくらべれば
「いえ
「だまっていろ!」
話を聞きやしない。
発情期の獣でももうちょっとマシではなかろうか。
(火事になったらどうするのよ、バカ!)
カリーンはしかたなく下手くそな
ブワッ! と彼女の影がうごめき、一個の
一瞬、これで公爵の頭を
鉄槌はベッドの下へスルスルと動いてゆき、はやくも
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