第14話 俺は一体


「か、か、蛙が立ってやがる!! 気持ちわりぃ!!!!」


『ヒロたん:あ、怒らせやがったww』


『まるまる:直球の悪口で草』



 思わず指をさしてしまった。カエルは自分のことが悪く言われていることに気付いたのか、めちゃくちゃ睨んできている。


 カエルが武器を持って二足歩行してるっつーのが異様だな……あれは石でできてんのか?



 槍のような武器で刺そうとしてきたが、軽く交わしてゲンコツを喰らわす。そのままグシャッと地面に広がる。うぇぇ……手がヌメヌメして気持ちわりぃ。



 なかなかグロテスクな潰し方をしてしまったが仕方ねぇ。次々と襲ってくるカエルを撃退していく。



『あんぱん:拳だけであんなペシャンコになるもんなん?』


『おじゃまン:モザイクww』



 まあ、最初はこんなもんだな。





 俺はその後狭い通路を通っていく。下へ降りる階段しかねぇ。どんどん地下へ進む感じか。今までと全然違うな。敵も多いし終わりが見えねぇっつうかなんつうか。



 薄暗いしジメジメしてっし……気味悪ぃな。その後もモンスターを難なく倒し、かなり下まで来た。そろそろボス戦も近くなってきただろう。




 階段をおりた先のフロアで待っていたのは……女?! 悪魔か?



「ふふふふ、人間がきた。美味しそうな人間♡」


 手足と翼が鳥のようだ。露出度の高い服を着た女の見た目をしている。


『MAN:エロ!! ストリゲスちゃんだぁ〜』


『鼻の下のび太郎:これで抜けるわ』




 透き通る声で見た目もエロ……ってダメだ、敵だろ。

 ましてやダンジョンの中だぞ。気を引き締めろ、俺。



『koma:撮影者が見えてないのか?』



「所詮モンスターだろ。かかってこいや!!!!」


「威勢のいいこと♡ 見たところ武器もないようだけど……無くしてきちゃったの? 可哀想に……」



『ひーくん:いい感じに勘違いしててくれてる……』


『応援隊:誰か助けに行ってくれ!! UNLCOに連絡したけどなんでか転移出来ないらしい!!!!』


『堂真くんちゅき:もう見たくない。どうすればいいん』


『サムライ:ここまで来たら行けんじゃね?』


『まむし:思ったより行けてて草』


『ワイ:流石にそろそろ無理だろ』


『ポンコツ:撮影者って魔法使い? 透明化できんの? 俺わかんにゃぁ〜い。誰か教えてちょ』



 目の前の女悪魔が手を前に出すと、ゴゴゴゴと地響きが聞こえる。


 なんだ??



 ……おい、まじかよ。大洪水だ……溺れる!!!!

 四方八方から勢いよく水が溢れてきている。フロアが広いお陰でまだ時間はあるだろうが、やべえぞ……。



「おい!!!! 正々堂々戦いやがれ!!」


「あら、もしかして泳げないの?」


「ちげぇよ!!!! っこの……クソ!!」



 試しに壁を蹴って殴りかかろうとするも、スルッと飛んで避けられてしまう。やべえ……完全に遊ばれてんじゃん。……そうだ。いいことかんがーえたっ!


『たろす:滑稽なんだがww』


『枕元に俺:なにしてんwwww』


「おらぁ!! さっさと降りてこい!!」


「ゆっくりと溺れて死になさい! むさ苦しい戦いなんて私には似合わないわ〜♡」


「クソぉ!!!! じゃあなんでもっと逃げねぇんだよ! ギリギリ……避けやがって……っおらぁ!」


 水がどんどん傘を増して、太ももまで迫ってきている。そろそろやばいな……。


『karasu:撮影者、飛びながら透明化してるってことだろ。魔法使いってのはわかった』


「貴方の遊びに付き合ってあげてるのよっ! どうせ死んじゃうのに馬鹿な子!! あははははっ!! 1人でノコノコと……こんな所まで来ちゃって命知らずね。それとも迷い込んじゃったの? おチビさん♡」


「誰がおチビだ!! 身長は180以上あるぞ!!」


「あははははっ! お子ちゃまはさっさと死にさァァい!!」




 ガシッ


「へ……?」


「捕まえたぜ」




 俺はわざと届かないふりをして、油断させた。その隙に高く飛んで、このエロ悪魔の足を掴んだっけわけだ。騙されやがって……はははははは!!!!



『堂真くんちゅき:あー! 堂真くんはやっぱり裏切らない……死なないでくれぇぇ』


『ミートボール:やるやん』



「お、おのれぇぇええ!! わざと……私を騙したなぁぁ!! はなしなさい!!!!」



 振り回されても俺は、エロ悪魔の左足首を掴む右手を離さなかった。



「嫌だね!」


 グッと左手をふくらはぎへ持っていくと……ゲシゲシと俺の顔を右足で蹴られる。だが俺には効かねぇぜ!!!!



 ドゴッドカッ! 勢いよく壁にぶつけられ、衝撃が脇腹や背中に響く。


「おい! やめろ! いてぇだろ!!」


 ドカッドゴッ!


「離れろと言っているだろう! 穢らわしい!!」


『怠け者1号:羨ましい。セクシーお姉さんに虐められたいおっ』


『まむし:大丈夫か?ww』


 そう言ってエロ悪魔はフクロウに変身し、するっと俺の手を離れる。慌てて俺は拳を突き上げた。


 ゴッ。よし、当たった。俺はそのままドボンと水に落ちる。


「……っぷは……はぁ……」


 泳ぎが得意でよかったぜ。



 いつの間にかまた人型に変身したエロ悪魔が悲鳴をあげる。



「ア゙ア゙ア゙ア゙痛い……おのれ、なんて力なの……っごほっ」


『mochi:なんか可哀想』


 どうやらお腹の部分を殴ったらしく、片手で抑えている。フラフラと辛うじて飛んでるような感じだ。あともう少し攻撃できれば……クソ、届かねぇ。もう水が深くなって足もつかねぇし、飛び上がることが出来ない。



「はぁ……血が欲しい……もうこれしかないわ……餌食に……なりなさい!」


「な、なんだ?!」




 フロアの中心に向かって渦を巻いていく。



 ガラガラと床が崩れていく音がする。



 ゴゴゴゴゴゴ……



 もしかして……ボス戦か?!


 必死に渦の外へ泳ごうとするが、どんどん巻き込まれて行く。



『堂真くんちゅき:ああ……終わりだ……』


『サムライ:映像がまじで恐怖』


『たろす:やばすぎ』


 そのまま俺は沈んでいき、息が出来ない。



 ブクブクと泡を立てて、そのまま崩れ落ちる床と一緒に地下へ落ちた。


『koma:ボスのエリアに強制送還か』


『ヒロたん:ボスは何なんだ?! ワクワク』



 ボトンッボトボトッ



 瓦礫が次々と落ちてくる。避けないと。



 泳いで避けたつもりだったが、俺の足に思いっ切りデカイのが当たった。


『むなげ:ボスはだーれだっ』


『ひーくん:堂真ぁぁああ! 死なないでくれ……』



「っ……!」


 ゴボゴボッ……やべえ息が……!!


 痛え。ピリッと痛みが走るも、動かすのには問題ねぇみてぇだ……って……あれはなんだ?!


『もろこし:死んだ?』


『オラ:あーめん』


 ここは底が見えねぇくらい深くて……おぞましいくらいデカイ怪物が動き出している。こっちに向かってくるぞ……!!!!


 急いで上を目指し、やっと呼吸ができた。


「……ぷはぁ!……はぁっ……はぁっ……!」


『堂真くんちゅき:ああ!!!! 生きてた!!!

 !』

 


 ✦︎✧︎✧✦



 戦闘シーンかなりサクサクさせてるんですけど、早すぎますかね?


 停滞すると飽きるので、私はこれくらいが丁度いいのですが……どうですか?^^;




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