第3話 助けた女性は……


「おい! 大丈夫か!!」



 音のした方まで向かうと、蜘蛛の身体から上半身が女の身体が生えている……モンスターがいた。

 その目の前に女性が蜘蛛の糸でグルグルになっている!!



「んー! んー!!」



 グルグル巻きにされた女性は、SWATみてぇな服を着ているのは何だ? まあいい……今は気にしてる場合じゃねぇな……!



「ほぅ……あれはアラクネだな。ボスだ」


「おいそこのモンスター! 女性を離せ!」






「離せと言われて離すとお思い? あっひゃっひゃっひゃっひゃ!!!!」



 白目の部分が黒く、真っ赤な目……く、なんて威圧感だ……!

 これがボスなのかよ……下品な笑い方だなぁ!!!!


 アラクネが蜘蛛の足を女性に向けて振りかぶるその瞬間──俺は勢いよく地面を蹴って一気に距離を詰め、顔面めがけて拳を振った。



「おらぁぁぁぁああああ!!!!」



 ドゴォォォォオオオオオオ!!!!



「あ……?」


 今、何が起きたんだ? そのまま吹っ飛んでアラクネが壁にめり込んでらぁ。俺がやった……のか?!



 呆然と立ち尽くしていると、ブラックホールのようなものから人が出てきた。



 現れたのは、刀を持ち武士のような袴をきた男。長い髪を後ろで束ねていて……こいつは戦国時代からタイムスリップして来たのか? しかしまたイケメンかよ……勘弁してくれ。それで何で目が青いんだ? 初めて見る目の色だな……。



「遅せぇよ!」


「……? 貴殿は……?」



 何だよ、貴殿って……。やっぱりマジモンの武士なのか?!



「んん!!」


「その蜘蛛の糸を解いてあげねば」



 俺が女性を下ろすと、そいつが刀で糸を物凄い速さで切っていく。まじかよ……糸だけ切りやがった。かっこいい武器とその強さ……羨ましいぜ……クソ。



「っはぁ……! 助けて下さりありがとうございます……」



 女性と接するのは苦手だ。どう接していいかわかんねぇんだよな。しかし可愛いな……茶色い目が二重で大きくて、茶髪のボブに、肌は白くて……駄目だ、ちゃんと目が合わせらんねぇ。



「別に……普通だ。当たり前っつうか……」


「あの……私、長谷川はせがわ 伊織いおりって言います。あなたの名前は……?」


「俺は阿形 堂真。そんで……お前は?」


「ああ、拙者は嘉成かなり 重介しげすけと申す」


「えっと……重介は戦国時代から来たのか?」


「そんな訳なかろう。ふん、拙者の事を知らないのか。ダンジョン配信をしている、ダンチューバーというやつだ。キャラ付けは大事だからな。日頃から心掛けている」



 ダンジョン配信……? ダンチューバー? なんだよそれ。ダンジョンが出来てたったの3ヶ月だろ? どうなってやがんだ……。



「彼もメンバーなんです。実は私達、国連ダンジョン対策機関のメンバーで」


「ダンジョン……対策……あのブザーのカゴに書いてたやつか?」


「そうです! あれで知ったんですね ……なるほど。国連は知ってますか?」


「何となく……?」


 ポカンとする俺に、重介はため息をついた。なんだよ、知らねぇんだから仕方ないだろ。

 重介が言うには……国連とは国際連合、世界の安全を守る機関だそうだ。その国連の新たな組織、国連ダンジョン対策機関を通称 " UNLCO '' と呼んでいるらしい。カッコつけやがって。


 そのUNLCOはダンジョン攻略や調査・研究、能力者の把握などを行っているんだと。結構ちゃんとしてそうじゃねえか。3ヶ月でそんなもんまでできているとは。世界全体が危機なのかもな。



「そうか……俺には関係ねぇな。じゃ」


「ちょ、ちょっと待ってください! 貴方ほどの強いお方なら、私達の仲間に……お礼もしたいですし!」




 本当はすんげぇ伊織と仲良くしたい。へへ、伊織。危ねぇ、鼻の下が伸びるところだったぜ。どうせ俺を引き込みたいだけなのだろう。そういうのは疲れる……もうやめて欲しい。



「俺はそういうのに興味ねぇし、お礼もいいぜ」




 国の機関だか何だか知らねぇが、使って要らなくなったら捨てる駒としか思ってねぇんだろうな。

 俺は会社にリストラされたんだ。もう誰かの下で働く訳には行かねぇ。なんとか1人で生きていける方法を探さねぇと……。




「近々我々から連絡が行くだろうがな」


「そうか」


「救援感謝する」と重介はすんげぇ冷たい目で言った。なんでだよ。感謝してるやつの顔じゃねぇじゃねえか。出来ればもう会いたくねぇな。いけすかねぇヤツ。おめぇが来んの遅かっただけだろ。それともなんだ? 俺の強さに嫉妬してんのか?


「あの……! 堂真さん、本当にありがとうございました!! じゃあ、また……!」


「おう! また会えたらな」



 ちょっとカッコつけちまったな……まあいい。どうせもう会わないだろう。


 俺はそのままボスを倒してから出ようとした。


「あの! 出口そっちじゃないです……」


「そ、そうか」


「そのテレポートで出口まで飛べますよ」


「あ、ああ。そうだったそうだった! ウッカリしてたぜ〜ははっ」



 クッソ恥ずい。俺は早足でテレポートへ入り、向こう側はマジで外だった。まじか。便利すぎだろ……。


 ダンジョン攻略したんだよな。まだよくわかんねぇ。実感がわかねぇってか、夢の中みてぇだ。


 ブザーをカゴへ戻すと──



『ダンジョン攻略お疲れ様っ! ゆっくり休んでね〜♡ チュッ♡』


「うおぉ!」



 そういえば美少女の音声が流れるんだったな、すっかり忘れてたぜ。少しは癒された。早く帰ろう。




 ✦︎✧︎✧✦





 ……って、あの場にいたくねぇから歩いてきたが……周りは森、森、森、森ぃぃいい!!!!


「はは、ハークは……死んじまったのか? こっからどうすりゃいい……?」


「おい人間。そんな簡単に死ぬわけが無いだろう!」


「おあっ?!?! どこに居たんだよ!」


「ずっと傍にいたぞ。他の人間に見られたくなかったからな。透明になっていただけだ」


「え? そういえば……2人は悪魔と一緒にいなかったな」


 上級悪魔を連れているのは恐らく俺だけらしい。そんな馬鹿な……ハークより下の悪魔は、ここで姿を維持出来ない。武器に宿ったか、能力を与えて帰ったかの2択だそうだ。それじゃあ俺がそんなに強くなくても、ハークが居るだけで最強ってことか?

 ふっふっふっ。これは勝ち確ってやつだろおおおお!!


 ニヤニヤこれからのことを想像する。『勇者様〜!』なんて呼ばれちって。



最高かよ!!!!


「さあ、家に帰してやる」


「おぁ、また飛ばしてくれんのか? お前は……どうするんだ?」


「どうするって、貴様と共に帰る。光栄だろう?

 人間」


「え?! 俺の部屋狭いし汚ぇけど」

(仲間じゃねぇって言ったくせに、どういう事だ? 仲間の概念が違うだけなのか?)


「俺様も嫌だが仕方あるまい。姿を変えるしかないな」


「上級悪魔は何でもありかよ……」


「さあ、行くぞォ!」



 この視界が歪む感じ、慣れねぇ!






 ――――――――――


 序章まで読んでくださり、ありがとうございます!

 次回から1章に突入します。



 主人公は今後どんなことに巻き込まれていくのか、どう乗り越えていくのか!!



 これからも読んでくださると、とっても嬉しいです🥰


 コメントなど下さると喜びます🥺


 評価

 ★‪☆‪☆‪:まあサクサク読めた。ある程度楽しめた。


 ★★‪☆‪:続きが気になるかなー。


 ★★★‪:面白い! 続きが楽しみ!!



 フォローや評価もお待ちしてます!!🙇‍♀️

 スライディング土下座とか懐かしぃいいい(歳ばれる)

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