【02】2
被害者から加害者になることを叔父は恐れていて、極力、人とは関わらない。15歳以下の人間は特に。夜詩くんが僕のこういった行為を許すのは、僕が夜詩くんを被害者に引き戻すからだ。と、思う。それとも夜詩くんは実は僕のことをめちゃくちゃ好きだったりするんだろうか。本当のところはわからない。僕たちは一番大事な話を絶対にしない。
執拗に身体を重ねていると頭の中まで熱っぽくなってきて、僕は夜詩くんに恋してる感覚になる。好き。全部が愛しい。脳内麻薬。強制的な行為を小一時間もすれば、夜詩くんは自分からキスしてきてくれる。その瞬間がわりと幸せだったりする。日常と接続しない夜詩くんは快楽にだらしない。可愛い。声とか全然我慢出来てない。僕にしがみついて喘ぐ夜詩くんも、普段の夜詩くんとは接続されない。それはそれ、これはこれで、冷静に考えると頭おかしい。サイコパス。
でも事実なんだから仕方ない。
「痛くないの?」
「痛い」
母に遅くなると連絡をしてから、夜詩くんと一緒にお風呂に入る。全身そこかしこの切り傷に、お湯は染みるらしい。
「もう外に出るのやだ」
「買い物どうすんの」
「………………………ネット通販」
「太るよ」
「…………」
「夜詩くん運動しないし」
「…………」
「夜にジョギングとかすれば?」
「怖い。やだ」
「あそう」
夜詩くんが薬を飲んで、寝逃げするのを見届けてからマンションを出る。走れば5分前後だけど、無駄に僕は街を走り回る。汗をかいて石鹸の匂いを消す。なんか浮気してる亭主みたいだな。制汗剤をふりかけてから、帰宅した。当然、母とは揉める。健全な喧嘩。接続されまくっている時間はうざったい。クラスメイトが見てないとこで山内さんと話したい。僕は連絡先さえも知らない。
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