第6話 翌日
昨夜あまり眠れなかった私は、寝不足になりながらも、学校に行くために家を出た。
そして昨日のこともあり、七菜香のことが心配だったので、通学路の途中で待つことにした。
「おはよう、みおっち!」
声のした方を見ると、そこには七菜香がいた。
「おはよう、七菜香。身体は大丈夫?」
「うん、平気だよ!お医者さんもどこも異常はないって。みおっちが救急車呼んでくれたんだよね?色々ありがとうね!」
「よかった、いつも通り元気みたいで。私心配したんだから、本当に。」
「だははー!私はいつも元気なのだー!だから心配しなくて大丈夫だよ!」
聞いている感じだと、空元気ではなさそうだったので一安心した。
「でもいまだに謎なんだよねえ。確かに車に轢かれたはずなのに無傷なんて。う~ん、これはミステリーですなあ。」
「そうね、本当に何が起きたのかしら。」
私は魔法の力については七菜香にも言うつもりはなかった。
信じてもらえないだろうし、何かに巻き込むのも悪いと思ったからだ。
「実はみおっちが不思議な力であたしのこと助けてたりして~(笑)」
「そんなわけないでしょ、ファンタジーじゃあるまいし。」
「だよねえ~、流石にないかあ。」
否定しながらも、私は内心ひやひやしていた。
元々勘のいい七菜香、いつ秘密がばれてもおかしくはなかった。
魔法のことは絶対に知られてはいけない、少女との会話でそう思った私。
たとえ親友でも、明かすことは憚られた。
「そんなことより今日からもう部活は再開するの?」
「うん、顧問の先生にも納得してもらったし。」
「そう。でもあまり無理はしないでね。また何かあっても大変だし。」
「大丈夫!みおっちには迷惑かけないよ。」
「迷惑とかじゃなくて、心配していってるの。」
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
そんなやり取りをしながら歩いていると、私たちは学校についた。
「おはよう、美生、七菜香。」
「おはよう!さゆりん!」
「おはよう、沙友里。」
声の主は、私たちのもう一人の親友こと、前橋沙友里。
「美生、昨日は大丈夫だった?心配したんだから。」
「ありがとう、私は大丈夫だよ。」
「ちょっと、ちょっと!さゆりん轢かれたのはあたしだよ!?あたしの心配は!?」
「あなたはいつも元気でしょ。心配する必要がないもの。」
「うわぁ~ん!、みおっち~、さゆりんがいじめる~!」
「沙友里、揶揄うのもほどほどにね。」
沙友里は時々私たちを揶揄うが、悪気はなく、私たちも冗談であることを認識している。
「ごめんなさい、つい面白くて。でも本当によかったわ。美生も七菜香も無事で。先生から聞いたとき、気が気じゃなかったわ。」
「さゆりんにも心配かけちゃったね。でもほら、あたしもみおっちも見ての通りピンピンしてるから!ね?みおっち。」
「.....。」
「みおっち?」
「美生?」
「まただ...。」
私の下駄箱の中には1通の手紙が。
でもそれはもうほぼ日常になっていた。
「みおっちまたラブレターですかあ。流石ですなあ。」
「美生も大変ね。」
そのまま私たちは教室へと向かった。
手紙に対する私の答えはもう決まっている。
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