第5話 眠れぬ夜
夜中の1時を過ぎ、すっかり日をまたいだ中、私はまだ眠れずにいた。
昨日の出来事について一人、ずっと考えていた。
「あの女の子、私が魔法をつかったって言ってた...。」
私は魔法についてインターネットなどで調べたが、当然、魔法がつかえる人もいなければ、魔法の概念そのものが架空のものとされていた。
そして、私にはいくつか気になることがあった。
魔法についてはもちろんのこと、あの女の子についてもだ。
「あの女の子も魔法がつかえるって言ってた。そしてなぜか私が、【私の大切なもの】を探していることも知ってた...。魔法の力で私の心を読んだ?でも、あの子も私と同じものを探しているみたいだったし...。」
しかしなぜあの女の子は私のことを気にかけてくれるのか。
私とあの子の共通点と言えば、魔法がつかえる、自分にとって大切なものを探している、そして家族がいない、この3つといったところだろうか。
「魔法の力を持つ私への興味?もしくは、同じものを探す私への共感?家族のいない私への同情?ますますわからないわ...。」
「それに、あの子が言ってた【こっちの世界】...あれはどういうことなのかしら?異世界...なんて、まさかね。」
私は少女が言ったことに対して、半信半疑だったが、魔法の力があることを知った今、その可能性がゼロではないと思う自分もいた。
頭の中を整理しようとするだけ、疑問が生まれてくる。
魔法の力、そして謎の少女、違う世界。
そしてもう一つ。
「魔法の力には代償があるってあの子は言ってた。確か等価交換。今回は私の生命力がつかわれたって言ってたけど...。」
私は特に、身体への違和感を感じていなかった。
痛みもなければ、怠さも感じない。
結局のところ、私は何も知らない。魔法の力についても、少女についても、少女が言っていた、【こっちの世界】についても。
私は、どこかで少女がまた現れてくれるのを期待するしかなかった。
1時間半ぐらいだろうか。ずっと自問自答をしていた私は、その意味のなさにようやく気付き、明日に備えて眠りについた。
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