第4話 魔法
「つかっちゃったんだね、お姉ちゃん。」
「あなたは...つかったっていったい何のこと?」
突然現れた少女に戸惑っていると、少女は淡々と語りだす。
「魔法のことだよ。本来人が手にできない力。お姉ちゃんが今日つかったのもその力。」
「魔法?私そんなのつかってない。」
困惑している私を気にせず少女は続ける。
「今日お姉ちゃんが一緒にいた人。あの人が車に轢かれた後、お姉ちゃんは魔法をつかったの。」
確かに思い当たる節はあった。
あの時、七菜香が助かるように私は強く願った。
でも魔法なんて漫画やアニメの中の話。
私には無縁なもののはずだ。
「魔法なんて何を根拠に...。」
「魔法は本来、強い想いや願いに応えてその力が具現化するの。お姉ちゃんのあの人を助けたいという強い願いに魔法の力が答えたの。」
「仮に本当に魔法があるとして、なんで私がつかえるの?強い想いや願いを持つ人なんてたくさんいるはず。でも今まで魔法なんて見たことも聞いたこともない。」
「さっき言った通り、魔法は本来人が手にできない力なの。お姉ちゃんが魔法をつかえるのは...ううん、それはまだ言えない。」
私は気になっていたことを聞いた。
「あなたが突然私の前に現れたのも魔法の力なの?」
「そうだよ。それに今朝お姉ちゃんを助けたのも私の魔法。」
「私を助けた?何のこと?」
少女は答える。
「ドローム、えっとこっちではロボットの方が通じるかな?あれからお姉ちゃんを守ってあげたでしょ?」
「あれは私が見た夢じゃ...」
挟むように少女が言う。
「夢じゃないよ。あれは現実。まさかお姉ちゃんがこっちの世界に来るとは思わなかったけど。」
「ちょっと待って、ドローム?とか、こっちの世界とか、何の話?ちゃんと教えて。」
「今はまだお姉ちゃんには言えない。でもきっと言わなくちゃいけない時が来る。だから待ってて、その時が来るまで。」
そして少女は立ち去ろうとして止まる。
そして私にこう言った。
「でも覚えておいて。魔法は万能じゃないの。もちろん代償もある。私たちがつかう魔法の代償は【等価交換】。お姉ちゃんがあの人を助けた時もそう。あの時行われた等価交換はお姉ちゃんの生命力。だから安易につかおうとは絶対にしないでね。」
少女が去ったあと、私は頭を整理するのがやっとだった。
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