第13話:29階での狩り
予定よりも1時間以上ダンジョンに潜るのが遅くなってしまいました。
他の12歳が1年かけて手に入れるような利益があったので、文句など何もありませんが、ちょっと目立ち過ぎたのではないかと反省しています。
予定よりも魔力を多く使ってしまったので、空腹で倒れてしまわないように、朝食と携帯食に小銭貨60枚も使ってしまいました。
その代わりバックパックの中には、比較的柔らかい黒パンと革水筒に詰めたワインが入っています。
僕たちは昨日話し合っていたように、一気に29階まで潜りました。
途中で狩りをするのは、29階まで下りるのにどうしても通らなければいけない境界線だけです。
迂回する方が時間がかかるので、最短距離を突っ切るように29階まで下り、空いている狩場で効率最優先の狩りをしました。
魔力は29階に潜るまでにかなり回復しています。
お腹一杯食べた朝御飯もこなれています。
全力でモンスターを出現させて狩りまくりました。
2日かけて、両親や祖父母から教えてもらった効率的な狩りを実践しました。
3日目ともなると、粗い所が徐々に取れていきます。
流れるような連携でモンスターを狩り続けることができます。
6頭のゴブリンに6体のスケルトン。
6頭のホーンラビットは滅多に出ませんが、100回に1回はでます。
29階では宝物を落とした事がないので、現れた瞬間に外れだと分かります。
6頭のフォレストウルフが出た時は当たりです。
29階にでるフォレストウルフは必ず宝物を落として行ってくれます。
1頭が大鉄貨2枚と小鉄貨6枚を落として行ってくれます。
2時間連続で狩りをしていると、朝使った魔力が全回復したのが分かります。
このまま魔力を無駄にするのはもったいないので、何か研究してみようと思ったのです。
両親と祖父母、叔父や叔母たちも、僕たちのために色々確かめてくれました。
そのお陰で、僕たちは楽に狩りができるのです。
僕たちも、妹弟のために簡単に狩りができる方法を探さないといけません。
先達が見つけてくれたのは、一撃でモンスターを倒せる急所です。
特にアンデットの急所を見つけてくれたのは大きいです。
そのお陰で、神聖力がなくてもアンデットを倒せるようになりました。
それ以前にも、アンデットに神聖力が効くのを見つけてくれた先達がいたのです。
神聖力が発見されるまでは、逃げるか、偶然急所当たるまで戦うしかなかったのがアンデットです。
後に続く僕が探すべき事は、もっと効率的に狩りができる方法です。
もっと長時間効果が持続する神聖術や、剣に刻むと今よりも長く神聖力が使えるようになる呪文を見つけ出すかです。
ですが、この研究をすると、僕たちの狩りの効率が悪くなります。
効果が有るのか無いのか分からない呪文を剣に刻み、わざと急所を外して攻撃し続けなければいけません。
しかも1度や2度ではなく、効果のある呪文を見つけるまでずっとです。
1カ月かけても1年かけても、見つけられるとは限らないのです!
僕1人ならやったかもしれませんが、ソフィアとアーサーがいます。
ソフィアは父親を超える村1番の猟師になるために、できる限りレベルアップしようと頑張っています。
アーサーはどんな事があっても母親を守れるように、できる限りレベルアップしようとしていると同時に、母親に楽をさせるお金を稼ごうとしています。
そんな彼らに効率の悪い狩りをさせる訳には行きません。
別の何かで、妹弟のためになる事を探さないといけません。
全く新しい魔術を探すのは永遠のテーマですが、直ぐに成果は出ませんね。
新しい神聖術も同じですね。
狩りの効率を悪くしないで研究できる事なんてあるのでしょうか?
「ハリー、そろそろ休憩しない?」
今直ぐできることで、一杯になった魔力を無駄にしない事。
「次に湧かしたモンスターは魔術か神聖術で倒します。
一杯になった魔力を使ってから休憩しましょう」
「何か確かめたい事があるのですね、分かりました、やりましょう」
「魔力を使うと普通に狩るよりお腹が空くから嫌なのだけれど、弟たちのためならしかたがないわね」
次に現れたのはスケルトンが6体でした。
普通なら剣で急所を突くか神聖術で倒すのですが、僕は火魔術を急所に叩き込みました。
僕の願いを聞いたソフィアとアーサーも、スケルトンの急所に火魔術を叩き込んでくれます。
これでこの狩りのテーマが決まりました。
スケルトン6体を火魔術だけで倒す。
それも急所に火魔術を叩き込んで一撃で倒す!
残念ながら宝物を落としてはくれませんでした。
もし宝物を落としてくれたなら、火魔術だけを急所に叩き込んで倒したら、必ず宝物を落とすかもしれないという仮説が立てられました。
「これから現れるモンスターだけど、スケルトンなら水魔術を急所に叩き込みます。
ゴブリンなら急所に神聖魔術を叩き込みます。
それで宝物を落とした場合は、繰り返しやって確かめます」
「いいわよ、魔力が半分になるまでやる?」
「僕もそれで良いですけれど、魔力を1/3使うくらいにしません?」
「アーサーが言うよりも早めに休憩しよう。
魔力を1/4使った時点で小まめに休止して、それまでの成果を確認しよう」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます