久しぶりの学校②
無事授業が始まり、私は窓際の一番後ろで隣に由香里が座っている。それはいいのだ。問題は…
「美波ちゃんの制服姿可愛いねぇ…はぁ、はぁ」
「由香里?」
万年発情状態の由香里の隣に居なければいけないことだ。今にも襲ってきそうな瞳をしている由香里を見て少し恐怖を感じる。
流石に教室でそういうことはしないだろう、いや前科があるからな。考えたくもないが、考えないでいるよりかはマシだろうと警戒態勢で由香里と接するのだった。
1時間目の授業は数学で私は先生の話に耳を傾けながらノートを取っていると、太ももに何かの温もりを感じる。
「ねぇ、由香里」
「うん、どうしたの美波ちゃん?」
「いや、なんで太もも触ってるのかなって」
「美波ちゃんの太ももがあるからじゃないの?」
至極当然の事を言っているような顔をしてこちらを見ているが、その目の奥には今にも私を襲いたいと言いたげだった。由香里にここでするのはまずいと言うと、
「今キスしてくれたら、やめてあげる」
「……うーん、わかった」
私はこのまま太ももを触られ続けて授業に集中できないより、ちょっとキスをしするくらいならと承諾してしまった。
まぁ案の定、触れるだけのキスではなく――
「ん…あっ…由香里、ちょっと…ん」
授業中だというのに容赦のないディープキスをしてくる。音が響いていたのか数人の生徒がこちら見ていてすごく恥ずかしい。
ガン見してくる人もいれば、手で顔を隠し指の隙間からこちらを覗いている人もいた。もしかしてこれ毎時間やるのかな…そんなことを考えていると。
キーンコーンカーンコーンッ
授業終わりのチャイムが鳴ったのだ。流石に由香里もキスするのを辞め、私は黒板と自分のノートを交互に見る…半分以上の内容全く分からない。どうしようと焦っていると、
「美波ちゃん、勉強でわからないところあったら私が教えてあげるね?」
「え、うん。そうだね由香里こう見えて勉強できるもんね」
「うん、さっきの時間もきちんと先生の話聞いてたから、わからないところあったらいつでも言ってね!」
は?さっきのキスしながら先生の話聞いているとかどんな頭してるんだよ。もしかして私遊ばれてるの?いやいや、由香里はそういう人じゃないはず。まぁ授業中にああいうことをされるのは困るからきちんと注意しないと!
「ねぇ、由香里ルール作ったの忘れたの?」
「ん?あー…」
「忘れてた?」
「うん、夏休みとかあって失念してたかなーあはは」
「わかった、ペナルティ追加しようか!」
「ペ、ペナルティ?何するの、もしかしてまたあの地獄だったりしないよね?」
由香里が言っているのは半年前に行った禁欲生活だろう。
だが私は少し悩んだ。由香里が苦しむペナルティ…由香里はロリコンで結構なMの変態だし羞恥心というものが欠けている。
由香里にふさわしいペナルティってあるのかな?前の禁欲生活も私が入院したから何もなかったけど、それまでただただ発情中のサルに刺激を与え続けることになったし最後の日とか目が本当にやばかったからなぁ。
深く考えれば考える程に沼に沈んでいきそうで、いい思考にならない予感がし私はつい由香里の方へ視線を向ける。すると由香里もその視線に気づいたのか涎を垂らしながら私を見ていた。うん多分私ではなく、私の身体を見ている気がする…
「ねぇ由香里、私ちょっと今のままだと由香里の事嫌いになりそう」
嘘である。さっきのキスもされてすごく気持ちよかったし、教室という場所でなく家という二人だけの状況ならすべてを受け入れていたかもしれない。
だがここは公共の場だ、二人だけの空間では無いのだから周りに配慮というものをしなければならない。それに関しては由香里にも気を付けてもらわないと、普通の日常すら乏しい現状がさらに歪んでいきかねない。
「…………」
由香里は黙ってこちらを見ている。さっきまでの涎は何処に行ってしまったのか綺麗に無くなっていた。私は由香里の口元から目へと向けると、うっすら涙を浮かべていた。
焦った私はすぐに弁解をするべく口を開く。この時は私は必死だった、ペナルティの事なんて覚えていない程に。
「ゆ、由香里!?…えっと嫌いになるとか絶対にないから、そこだけは安心して!でも流石にここは公共の場であってみんな見てるから、家まで我慢してほしいだけなの!玄関潜ったらすぐにしてもいいから…えっとだから泣かないで?」
「わかった…我慢する」
ふぅ、案外素直だなと胸を撫で下していたのだが、その日から家に帰るなりすぐに服を脱がされベッドまで連行されるという習慣が構築されるのだった。
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