久しいぶりの学校①

 私は高校に入学して2週間ちょっとで事故に遭い半年近く病院で寝たきり状態で、そのせいで学校には行けず毎日リモートで授業を受けていた。単位数的には問題ないのだが、体力の問題が出てきている。退院後夏休みで少し外に出たくらいで特に運動することもせず、昨日由香里に朝から夜まで愛し続け、今は登校をしているのだが体がバキバキと音を鳴らしそうな勢いだ。


「痛い」

「ごめんね美波ちゃん、ほんとに夜まで性欲が収まらなくって…」


「いや、由香里のせいじゃないよ。リハビリ後運動してなかった私が悪いんだし、それと由香里にしてもらえて気持ちよかったから、謝らないで」

「美波ちゃんがそういうなら…」


 由香里は私の身体を心配しているのかチラチラ私の顔色を窺っていた。私の事心配してくれる由香里にすごく安心する。

 そうやって心配してくれるのは私の事を本当に大切に思ってくれている証なのだろうと実感するから嬉しさも溢れてきて繋いでいる手を強く握ってしまった。


 すると私の気持ちが伝わったのか由香里は前を向いて少し微笑んだように見え、私は少しドキッとしてしまう。まだ私は彼女のその表情に慣れそうにない。

 いつかその表情に慣れる時が来るのだろうか、もっと親密になった時かな?その時もまだ私は由香里を好きでいられるのかな。


「いられたらいいな…」

「美波ちゃん何か言った?」


 ううん何も、と首を横に振り由香里としっかり恋人つなぎをして学校へ向かったのだった。


*****


 自分の教室に由香里と手を繋いで入ると、みんなが微笑ましいものを見るような表情でこちらを見ていた。半年前は由香里と一緒にいると何か問題でも起こすんじゃないのかと怪訝そうな顔や、憐みの視線を感じたのだが今はそんなことは一切感じなかった。


「ねぇ由香里この半年で何かあった?」

「ん?あー、私が美波ちゃんの下僕って熱弁したらみんな納得してくれたよ」


「は?下僕…?」

「そう、私は美波ちゃんの犬なの」


 ついに壊れてしまったのではないか?そう思ってしまう発言だった。でもまぁ、犬と言われれば納得するかもしれない。

 いつも由香里は私の股や太もも、お臍と首筋に唇、脇も最近舐め始めたもんね。犬と言われれば犬…かな?


「いや、でもそれでみんなが納得するってどう事なの?」

「そりゃぁ、美波ちゃんに通報されれば私はもう学校に来れないからじゃないかな?」


 そういうことか、私の選択次第で由香里の人生が決まってしまう。通報すれば前科が付くし、しなければ私と愛し合える。そういうことで下僕ということか、間違ってないかもしれない。だがそれは私が高校生として見られていないというのが前提の話だから少し悲しくもある。


「あ、そうだった美波ちゃん」

「ん?どうしたの?」


「夏休み前に席替えしたんだよね、それで私の希望で美波ちゃんと席隣になったからね」

「あー、うんわかった」


 この時の私は隣になるということを甘く見ていたのかもしれない。

 授業中の由香里の行動を予測することもできなかったその時の私に少し後悔している。

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