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麻生 凪
YELL
海岸に車を止めぼんやり海を眺めていた
今にも降って来そうな曇り空で波の色も濁っている
こんな日は人出も少ない
シートを少し倒し缶コーヒーを飲みながらFMラジオを聴いていると
防波堤の遊歩道を歩く若いカップルが見えた
付き合い始めて日が浅いのか
並んで歩いてはいるがその距離は少し遠慮がちだ
風に乱れるセミロングの髪を片手で押さえながら
彼の話におおきく笑顔でうなずく横顔が初々しい
晴れていれば夕日が綺麗なのだが
そんなことを考えている内に車の前を通り過ぎた
黒地に白い水玉模様のワンピース
レースをあしらったノースリーブの肩から伸びる
『手を繋いであげなよ』
ラジオから流れる真夏の讃歌が
何処か寂しげにエールを贈った
send cheers 麻生 凪 @2951
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