梅雨

6月に入ると、雨の日が多くなり、梅雨入りとなる。

その頃お迎えしたのが、菊の仲間の『寒菊』、ひまわりの仲間の『ロドンゴールド』松葉ボタンの仲間の『リトルマーメード』。

今年の梅雨は、雨風が強い日が多く、雨も降り続いた。主は、植木鉢を雨にあまり当てないようにして世話をしていた。ところが・・・。


「ねえ、コムラサキちゃんがいないの」しゅんが言う。

「え、どうして、昨日雨で棚の下に入れられたんじゃないの」とさつま。

「結構降っていたし、風が強かったからね、そうゆう日ってみんな棚の下に入れてもらってるよね」と、羽衣。

「でもいない、どこ行ったんだろう」しゅんは泣きそうになりながらそう言った。

「主様の事だからどこかに移動させてるんじゃない?いつか会えるわよ」と羽衣。

「だと、いいんだけど」しゅんは心配そうにそう答えた。


「あれーアナベルさんがいない?」なでしこはそう呟いた。

「困ったな、ゼフィちゃんの距離だと私の声届かないし、私は動けない。どうしたんだろう?」なでしこはそう呟き首をかしげた。


実は、コムラサキも、アナベルも雨が強く降るので、ベランダ下に移動していた。

コムラサキは伸びすぎて、棚の下に入らなくなったというのもあるが。

ベランダ下は多くの鉢で賑わっていた。

「う~ん、なでしこちゃんと、ゼフイちゃんが声が聞けなくなった」とアナベル。

「それ、誰?」と海峡。

「一緒に前の家から連れてきてもらったのよ。ゼフィちゃんは鉢植えなんだけどなでしこちゃんは玄関横の所に地植えされたから」とアナベル。

「椿ちゃんたち元気かな?」とコムラサキも呟く。

「まあ、いつか会えるわよ」とユーミーが言った。


ある日、急に振り出した豪雨の為椿たちもベランダ下に移動させられ、第一話の全員集合の話となるのである。


翌日、小やみになったので、椿たちは棚へと戻された。

「コムラサキちゃんいてよかったね」としゅん。

「それにしてもあんなに増えているとは知らなかったわ」とさつま。

「でも、どうして私たちはここに戻されるんだろうね?」と羽衣。

椿たちは色々言い合っていたが結論は出ない。主が朝から日が差した時に当たるように場所を分けていただけなのだ。

主はまんべんなく日を当てる為植木鉢の向きもよく変えていた。

「なんか、目が回る」としゅん。

「しょうがないわよ、私たち自分じゃ動けないし」とさつま。

「日の光を溜めて夏に備えましょう」と羽衣。

「そうよね、私たち暑いの苦手だし、日差しも強くなるしね」とさつま。

「うん、うん」羽衣と、しゅんが頷く。


その頃、マリーゴールドが花を咲かせ始めた。間引きされていなかったため、結構ぎゅうぎゅうになっていた。

「ね、少しそっち行ってよ」

「無理よ、横は詰まっているもの」

「じや、縦に」

と前へ前へと大きくなっていく。花壇の縁から結構な距離の所に種まきされたのだが、縁の石近くまで進出してきた。その後は上へ。と、日光を求めて大きくなっていく。最初の頃は低かった背も、だんだんと伸びて行った。

マリーゴールドの花期は長く黄色とオレンジが咲き乱れ、主たちを楽しませることとなる。


アスターは順調に成長していた。でも、松葉ボタンは雨や湿度が苦手なため、成長が遅れ早く梅雨が早く開けて欲しいと思っていた。強い日差しや乾燥に強い植物にとっては日本の梅雨は苦しいものだ。

松葉ボタンの仲間は原作国では多年草だが、日本では一年草。夏は強いが冬の寒さに耐えれない。そのため種で冬を越すことになる。


日本は四季折々たくさんの花が見られるが、植物にとっては厳しいことも多いようだ。








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