多肉植物
春が来て成長期に入ったのは庭だけではない。普段は家の中で育てられている多肉植物たちも成長期を迎えた。
主が育てているのは『春秋型』気温が20度から25度ぐらいが最も成長する。
温かくなってきたので主は外に出して日に当てるようになっていた。
「う~んずいぶん温かくなってきたわね」
「ええ、そうね」
「でもさ、いい加減この狭い植木鉢から出して欲しいよ」
「そうよね、寄せ植えでお迎えされて、すぐ寒くなったからそのままだもんね」
「一回土を入れてくれたけど、もう狭い、いいな~プランターの子たちは」
「いやいや私たちももう広げて欲しいよ、脇芽とか出てるから」
「一つだけ植えられている子、なんか元気がない子もいるけど・・・」
口々に言い合う。そんなある日。
「え!」小さな鉢植に寄せ植えされていた子たちは驚いた。主が鉢から抜き取りシートに並べ始めた。
「植え替えてくれるのかな」小さな植木鉢に入っていた子たちは期待に胸膨らませた。
主は、新しいプランターに土を入れ少しづつ植え付けを始めた。
「あ~広~い!」
「気持ちいいね、やった」
次はもう一つのプランター。同じようにシートに並べていたのだが主は慌てて家の中に入って行った。持ってきたのは小さな植木鉢。
「あ、それ私が入っていたの!」そう、プランターに植えられていた子たちがお迎えされて時に入っていた植木鉢。
「誰を入れるんだろう」みんな興味津々。すると主は小さな子を2つその植木鉢にそっと植えた。そして残りを株分けして離して植え付けた。
「あの植木鉢に入っていたのにずいぶん大きくなったのね、私達」
「でもよく見つけたわね、あんな小さな子。大切に植えてくれてる」
植え付けが終わると水が与えられた。
「いい気持ち!」口々にそう言い合う。
「寄せ植えはきついよ、広げてもらって楽になった。これで成長できる」
春の日差しを浴びて多肉植物たちはすくすくと成長を始めた。
そう、寄せ植えは見た目は奇麗なのだが、植物の側からすれば日は当たらないし、風通しは悪いし、まっすぐ伸びることができない、苦しいもの。実際、茎が曲がってしまった子もいた。
多肉植物は成長期であれば、葉刺しと言って落とした葉からも芽や根が出て成長できるし、茎を切って刺すことでも根を出すことが出来る。温度と日差しに注意すれば強い植物。
サボテンやアロエも多肉植物の仲間。変わったところでは松葉ボタンが遠い親戚にあたる。葉が厚く水分をため込めるという事。乾燥には強く、切られた茎から根を出して増やせるという事も似ている。
暫くして曲がってしまった子と、小さな植木鉢に植えられた子、元気がなかった子は植え替えられることとなる。
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