第2話 やっぱり負け組

「どんな状況でも生きていたいと言ったけど・・・・。」


 気がつくとそこは薄暗い洞窟のようなところだった。日光などはなく、蛍光色の光を放つ植物のような生物のおかげで辛うじて真っ暗闇ではなかった。


 「ダンジョンに捨てる事無いだろーーーーー!!!」


 流石に大声で叫ぶわけにもいかないので、心の叫びをしたところで、状況の確認をする。


 召喚されて、喜んで、死ぬような目にあって、悲しんで、苦しんだせいか、なんとか落ち着いていられた。


 いや、もう色々諦めてしまって、達観している様な状態か。今は、状況と生き抜くことを最優先で考えよう。余裕が出来たら、この状況に放り込んだ奴らへの復讐なり恨みなりを考える事にする!


 「まずは自分の手札の確認か。」


 付近の岩の影に洞窟の身を隠す、小人族の体の小ささが役に立つ、ステータスを確認する。


職業:力を奪われた元勇者

レベル:1(次のレベルアップまで1000ポイント)


能力値

筋力:6

器用さ:12

敏捷さ:12

体力:7

魔力:3

知力:10

直感力:12

精神力:12

最大生命力:80 (体力*10+レベル*10)

最大魔法力:130 (精神力*10+レベル*10)

物理防御:3(筋力+体力/4)

魔法防御:6(魔力+精神力/4)


「・・・・・・。」


 一般人の平均は10って書いているな・・・。小人族ってハードモードじゃ無い?

とんがった能力値も、ソロで行く能力値ではない。


 あと、この『小人族』って小人族側からすると差別用語じゃ無いかな?

それが一般的に通っているのか?


 と、全く気にしなくて良い所が気になってしまった。私も随分余裕だな・・・。気を取り直して他は・・・。


特殊能力

 ・経験値取得不能

   世界の理の経験値取得能力が破壊され、取得経験値が出来ない。

 

※この世界の経験値について

 人側は魔物を倒した時、魔物側は人を倒した時に、対象のエーテルを得て自己を強化する。一定の量を超えた時にレベルが上がり、身体パラメータ・魔力パラメータが上昇する。ゴーレムや魔術で造られたものにエーテルは宿らない。


 あの時か・・・。いやいや、詰んだ、無理、無理ゲー、どんな縛りプレイだよ!また、目が眩んできた。泣きそう。やっぱり死ぬんだ、レベルも上がらず抜け出せずに死ぬんだな・・・。


 「い、いや、まだ全ての手札を確認してからだ!」


・マジックボックス

  異空間にレベル平方メートルの容量を倉庫として使う能力。重量を無視し、アイテムを入れた瞬間そのアイテムの時間が停止する。知力が8以上の生物は自動抵抗され入れることができない。


「やった!」


 マジックボックスは死守できたのか!勝ったな!勝ってないか!でも、もちょっと嬉しい!ただレベル平方メートルということは、一生1平方メートルの倉庫の可能性もあるな、とほほほ・・・。


 特殊能力は以上か、十分キツイ、経験値取得不能なんて呪いだよ!まあ、その異常処理が発生したおかげでマジックボックスが手に入ったみたいだからなんとも言えないが・・・。


「スキルもなんか残ってないかな・・・。」


スキル・魔法

・言語(人族語)


「これだけか・・・。こんなダンジョンで誰と話すんだよ!」


 まともにあるのはマジックボックスのみ。経験値は取得出来ない。武器も魔法も無く、筋力も魔力も無い。この世界の基礎知識も無い。


「詰んだ。」


 ナイトメアモード。


 『異世界生活 完』


 あかん、詰んだ事を前提に足掻く、どうせ死んでしまうのなら、死ぬ気で何かする。嘆いていてもしょうがない。やけっぱちでやってやる。ヤケクソだが、ある意味落ち着いた。


 服をパタパタと確認すると、着心地は悪くない良い布を使った服を着せられていた。服にポケットとかは無いか、所持品は良い服上下と下着・・・。せめてナイフ1本でも欲しかった。


 完全に捨てて殺す気だったってことか。でもなぜ殺して捨てるでは無かったのだろう・・・。生かしておく必要はなかったと思うのだが、それに生かしておくのなら捨てなかっただろうし・・・。よ〜わからん。


「痛っ」


 自身の状況がある程度わかって、少し安心したのか身体のあちこちが痛み出した。

おそらく、捨てられた時に落下で受けたダメージだろう。頭上は暗闇でよく分からないが、上の方に横穴があるように見える。


 イタタタ、傷からすると擦り傷も多いから坂道を転げ落ちそして落下したんだろう。


耐久力:50/80

魔法力:130/130


 やっぱりこの数値がなくなったら死ぬんだろうな。数値で命がわかるのも怖いな。魔法力とはゲームでいうマジックポイントだろうか、魔法無いので減る事はないか。


 自分の状況はわかった。あとは周りを把握しよう。今の場所は直径20メートルぐらいの広さの洞穴で、発光植物が地面を埋め尽くしている。天井までは視認することは出来ないが、現在地がとても深い位置にあることを想像させる。上の方の洞穴の壁には直径1メートルぐらいの穴がいくつも見受けられた。


「あの穴のどれかから捨てられたのだろう。」


 発光植物の根本を見ると、白骨死体が無数に散乱している。こわっ、明日は我が身か・・・。

 

 この植物がクッションになったのか、私の落ちる前にはまだそんなに生えてなかったのか、この死体達のおかげで成長したのか分からないが、先輩達のおかげで命を拾えたのかもしれない。


 できれば供養してあげたいが、まずは自分の命、安全を確保し、その後で供養しますので!死体漁りは怖いが、今は何でも良いので欲しいので我慢して漁る。


 うえ〜、白骨化した死体漁り、腐乱死体ではない事が唯一の救いか。でも普通の日本を過ごしていたらこんな事をする事はまず無い。


 大きな革鎧、小さい革鎧(私には大きすぎる鎧)、キラキラ光る水晶が3つ、武器は大きな剣が一つ。武器と防具は無理だな、体格と筋力的に全く使えない。


「この水晶はなんだろう?」


 灯の代わりになるだろうか・・・。とりあえずマジックボックスに入れておくか。


 これどうやって入れるのだろうか・・・、なんとなく使い方が知識としてあるな。


「ふむ、出し入れの方法はわかったが、ファンタジー感が強すぎて精神がイカれそうだ。」


 超常現象を目の当たりにしているのだからしょうがない、慣れて行くしかないか。


「おや?なんか『真実の鏡』に反応があるな。」


 どうやらマジックボックスの内容が、『真実の鏡』に反映されるようだ。これは便利、しかも鑑定もされる。


 この世界、本当にゲームの中じゃないだろうか?でも、昨日?やっていたゲームっぽくはないな。まあ、とりあえず、水晶の説明を読むか。


魔石

 この世界の生物が命を落とした時に、稀に生前に習得していたスキルや魔法が結晶化して残ることがある。生前の生物の習得経験が深いものが結晶化しやすく、習得条件が低いものほど結晶化しやすい。


 魔石を握り、意識を魔石に集中すると低確率でスキルを習得できる。人から伝授される方法より、『トリガー』を見つけるのが難しい。


「おお、スキル習得アイテムか!」


 白骨死体は13体だったが、魔石は3個、本当に稀なんだな。『トリガー』にリンクがあるな。


トリガー

 魔法やスキルを発動させるスイッチ。自分で編み出したスキル・魔法以外は、伝授もしくは魔石から自分に入れる。そして、その発動スイッチを見つけ出して、初めて習得となる。


 今ある魔石は『光神霊魔法:小治療』、『炎神霊魔法:火矢』と『水神霊魔法:水の盾』か。


・小治療:

 取得条件:無し

 魔法力消費量:10

 持続時間:一瞬

 対象:1

 距離:至近

 威力:レベル+精神力

 効果:対象者の体全体のダメージを威力分回復する。対象者の健常状態に近づける 

    魔法で、それを上回る事は出来ない。病気は治せないが炎症などは治せる。


 回復魔法キタコレ!至近でしか回復出来ないようだけど、一人だから問題なし!


火矢:

 取得条件:無し

 魔法力消費量:10

 持続時間:一瞬

 対象:1

 距離:20メートル(超えると威力が半減、距離もさらに5メートルで地に落ちる)

 威力:レベル+魔力

 効果:対象に威力*2の炎ダメージを与える。


 ま、まあ、遠距離攻撃魔法があるのはありがたいよね。威力がどんなものか不安があるが私だと威力が4か・・・。


水の盾:

 取得条件:レベル3

 魔法力消費量:10

 持続時間:一瞬

 対象:1

 距離:至近

 威力:レベル+魔力

 効果:腕に水の盾を作成、炎の属性攻撃の威力40までを無効化し、物理攻撃20

    までを防ぐ。重量は無い。


 取得条件がレベル3か、これは習得出来ないという事だろうか。


 使えそうなのは『小治療』と『火矢』か、『水の盾』は置いておこう、もしかして売れるかもしれないし。


 とにかく、習得だ。これが習得できれば、まだ希望の光が見えてくる。


「ええと、握りしめて、集中だっけか・・・。」


 魔石が光輝き、そして霧散し、光の粒が私に入ってくる。


 なんか頭に何かの情報をインストールされるとこんな感じなのだろうか。あとは『トリガー』を探すのか、そもそもトリガーが分からない。


 あ、でも転生直後に魔法を使ったな、あの時の感覚を思い出してみる。トリガーは流し込まれた情報(記憶)の引き出し方ということか、スマホにインストールされたアプリを起動するイメージ、アプリアイコンを使いやすいホームに移動させるイメージで・・・。


 『小治療』が発動し、自身の傷が癒えてくる。


「おお!擦り傷が治った!」


 同じように『火矢』を発動させる。


「おおおお、『ホーリージャベリン』には遠く及ばないけど、攻撃魔法だ!それにこっちの方は実感があるな。」


 自分の力としての認知度が高い。これは本当の自分の力だと思える。


「う、ちょっと頭が重くなる。」


 ああ、これが魔法力消費か。ゲームし過ぎて眠くなる時の感覚に似ているな。


耐久力:63/80

魔法力:110/130


 なるほど、数値でわかるとゲームみたいだ。これならゲーム脳全開で頑張ればなんとかいけそうだ。


 だが、レベルアップは無い。魔法力の回復方法も分からない。慎重に進めないといけないな。


 奥に直径1メートルくらいの横穴があった。小人族の私だと余裕で通れる。奥の穴から外をのぞいてみると、そこは奥の端まで見渡すことができなかった。


 発光植物はこの洞穴にしか生えていないようで、奥の洞穴は発光する鉱石で少しの視界を保つことができていた。地面には大小の岩がゴロゴロしていて、平地が少ないように見える。


 小人族の体も便利なもので体が小さいお陰で隠れやすく、狭い道も難なく進められるので、こういうゴツゴツとした岩場の多いところでは有利かもしれない。


 だが、油断もできない。それは私みたいに体の小さいモンスターも同じ条件だろうから・・・。


 とりあえず、小人族の身軽さのお陰でスルスルと(私にこんな動きが出来ることに驚きだが)岩場を進んでいると、岩陰に動く物を見つけた。


 半透明でゼリー状な動く物体、ファンタジー定番のスライムのようだ。この世界のスライムがどの程度の強さか分からないので、気を引き締める。


 友好的に進められるのか、先手必勝なのか悩んでいると、スライムに気づかれたようで、躊躇なく飛びかかってきた。


 咄嗟に避けられたが、少しかすったようで、腕が痛む。ステータス画面を起動しながら、体勢を整える。


 今ので、1ダメージ、モロに食らったら5ダメージぐらいくらっていたかもしれない。大した事ないが、複数に囲まれたら私の耐久力だと終わりだな。幸いなことにスライムっぽい生物は1体だけのようだった。


 また、こちらを狙うように力を貯めているようにも見える。


「くそ、今度はこっちの番だ!」


 スライムに右手をかざし、左手を添えて、集中しながら魔法を唱える。


「炎矢!」


 掌からスライムに向かって火矢が飛ぶ。そして、動きの鈍いスライムに直撃する。スライムは先程までの弾力性を失い、ドロドロに溶けて蒸発するように消えていった。


「やった、火矢で1撃か!」


 でも私の魔法力の1割くらい消費する攻撃魔法だ、囲まれたら終わり、3体以上なら撤退も考えないといけないな。


「なんかドロップしないのかな・・・。」


 スライムが蒸発したところに透明なゼリーのような塊と魔石一つが残っていた。


「お、魔石だ。スライムのスキルか!?溶解液とか出したく無いのだが・・・。」


 マジックボックスに入れて鑑定してみるか・・・。


・水作成

 取得条件:無し

 魔法力消費量:10

 持続時間:一瞬

 対象:自身(手の平から)

 距離:接触

 威力:レベル+魔力

 効果:威力*100ミリリットルの飲料可能な水を作成する。


「おお!ありがたい!生存確率がグッと上がる!私はついている!」


いや、こういう状況に陥っていること自体、全くついていないか。『真実の鏡』に別の項目が追加されている。討伐魔物?


スライム

カテゴリー:魔法生物

耐久力:10

弱点:炎・雷(ダメージ3倍)

 魔力の歪み、魔力溜まりなど、魔力がある一定量を超える場所に発生する魔物。

弱い生物を襲い、取り込み魔力を奪い、分裂し増殖する。魔力の塊のため、魔法の魔石をランダムで落とす事がある。


 スライムの核は魔法道具の素材によく使われるが、スライムの死亡時に核も消滅する為、生きている間に取り出す必要があるが、核を少しでも触ると致命傷になるので、手に入れることが難しい。


 なるほど、魔法生物か、スライムを乱獲できれば魔法を集める事が出来そうだな。

レベルの上げられない私にとって、魔法は生存確立を高める手札だ。

率先して狙って行きたい。


「まずは習得・・・。」


 ふむ、習得条件が無いのも関係あるのか分からないが、インストールは問題ないか。トリガーもそれほど難しくないのか、すぐに見つかった。


 イメージの問題だろうか、運が良かったのか分からないが、習得は出来た。

『水作成』で出した水を飲み干す。容器がないのでほとんど流れ落ちてしまったが、なんとか飲むことが出来た。


「うまい!」


 は〜、喉をうるわせて、胃が動き出す。


「腹へった・・・。」


 マジックボックスに、セリー状の物体を放り込む。3回しか魔法使ってないが総魔法力の2割近くを使ったので、魔法力の回復手段もわからないし、発光植物の間(と名付けた)に戻る。当分はこの発光植物の間が拠点になりそうだ。


 さて、呆気なかったがモンスターとの初戦闘、いや実際は2回目だけど勇者の力を奪われた貧弱状態では初めてと言うこと。やっぱ勇者補正ないから魔法もしょぼい。


生命力:62/80

魔法力:100/130


 マジックボックスのゼリーを確認してみる。


スライムゼリー:

 ゼリー状で食べる事が可能。ただし、味も栄養もない。マジクポイントが1回復する。


「おお!食べ物か!味も栄養もなくとも少しでも腹が膨れるならありがたい!」


 マジックボックスからスライムゼリーを取り出す。


「さて、実食と行きますか!」


 ・・・・、先程戦ったスライムを思い出すと、口に運ぶのに抵抗があるな・・・。ええい、ままよ!


「・・・・・・。」


 うん、まずい!確かに味はなくて、少し生暖かくて、喉の通りが悪い。だが、空腹のままでは思考能力が下がってくるので、無理やり流し込む。


 生温かい寒天を食べているようで、先ほどのスライムが脳裏をよぎるので不味さ倍増。せめて何か味が欲しい。だが、胃に流し込むと、少し落ち着くのがわかる。小人族の体の小ささのせいか1つのスライムゼリーでも腹の足しになったようだ。


 食糧の目処が立って少しは望みができた。だが、栄養が無いのでずっと食べ続けるわけにはいかない。マジックボックスで鑑定できる事がわかったので、あたりの発光植物を引っこ抜いてマジックボックスに入れてみた。


ソウルリーフ:

 生物の死体に寄生し、死の成分を吸い上げ成長する植物。人の魂を吸って成長すると言われ、ソウルリーフと呼ばれるようになった。

 食すると身体内部の魔法回路が焼き切れて一時的に魔法が使えなくなる。幹は太く硬く、乾燥すると薪としても使え、煙を出さずに燃え、暖が取れる燃料として東方の民族に慕われている。

 また、弱いモンスターはこの発光する光を嫌い、魔除けにも使われる。


「あっぶねー。」


 食糧がなければ最悪食べるところだった。魔法は唯一の脱出手段だから、使えなくなった時点で身を守ることもできなくなる。スライムにも勝てないだろう。


 この身体では腕のリーチも、筋力もおそらく役に立たないだろうし、スライムに

身体ごとり込まれて消化されてジ・エンドだ。暖を取る手段は出来たが、あたりのソウルリーフが尽きるのが先か脱出が先かだ。


 出来れば落下地点のソウルリーフに手をつけたくは無い。私以外に誰かが落とされる可能性もあるし、出来れば同じような境遇なら話し相手ぐらいにはなれるかもしれない。


 「もう、最悪、敵対勢力でもいいので、会話したい。」


 完全孤独で生きることなんて日本では経験した事が無い。そりゃずっと一人暮らしで友達もネトゲぐらいしかなかったが、コンビニで店員と話す事ぐらいはあったし、仕事で上司と話すことだってあった。


 完全孤独生活なんて想像できない。映画に1年無人島で孤独に生活する物語とかでも数ヶ月で気がふれかけていたし、ここは未知の世界、未知の洞窟、すでに壊れそうだ。


 異世界転生のテンションと魔法、ファンタジー、捨てた女魔術師への復讐(物理的には勝てないと思うが)でモチベーションを保っているが、何かで絶望したら一発で心が折れて自暴自虐になる自信がある。


「とりあえず、できるだけ喋ろう。喋り方忘れてしまいそうだ。」


 独り言が癖になってしまいそうだが・・・。


「とにかく、満腹では無いが、食糧の当てが少しできて、暖を取る手段もできた。

ただ、長期間は栄養的にも燃料的にも厳しい。第二・第三の解決策を模索せねば!」


 もう、己との勝負になってきた。まさか、人生でこんなサバイバル生活をする事になるとは思わなかった。だらだら生きて人知れず消えていくのだと思っていたからな〜。


「とにかく、今日はもう寝よう。ソウルリーフのお陰で寝ている間にスライムに襲われることはなさそうだし・・・・。」


 自分に言い聞かせるように呟き、丸くなって横になる。


「・・・・、全く眠れない!お腹も空いているし、凄まじい環境で安らかに眠れるわけない!」


 得意の現実逃避睡眠が出来ないなんて、こんなにメンタル弱いとは(強いとも思っていなかったが)


魔法力:101/130


 魔法は命綱だから、魔法力は温存して置きたかったが・・・・。ゲームや物語ではマジックポイントは寝たら回復したり、使い切ったら昏倒したが、寝ても回復しなかったら終わりだけど、残り100ぐらいじゃこの先、生きていけない。


「ここで知っておいた方が良いか・・・。」


 とりあえず、残りの傷を治して、壁に『水作成』で濡らして、『火矢』を当てて練習しよう。と言っても数発しか練習出来ない。じっくり意識しながら練習しよう。


「・・・・、楽しい!」


夢にまで見た魔法を今、私は使っている。一発一発が楽しい、ああ、無限に魔法を使いたい。


魔法力:11/120

流石に頭が重くなってきて、徹夜でゲームして、眠くてしょうがない時みたいな感覚になってきた。このまま使い切ったら昏倒しそうだ。


 最後に、ソウルリーフを3本ほど抜き、あたりに可燃物がないことを確かめて、束にして配置する。ソウルリーフの束に直接当たらないように、すぐ脇の地面に火矢を飛ばす。


 うまく着火してくれよ。地面に着弾し、余波がソウルリーフを覆ったが、着火には至らなかった。ぐは、失敗か、そこは流れ的に燃えてくれよ!


 「ああ、ヤバイ、もう寝そう。」


 次起きた時には魔法力が全快して、風邪も引いていない事を祈りつつ、意識が途切れた。


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