ヘタレ異世界放浪記

四方ベア

第1話 人生勝ち組!?

「今日もお疲れさんでした。来週もよろしくお願いします。」


 本日のリモート業務も終わり、仕事用のノートパソコンを閉じて、自分のプライベート用のノートパソコンを開く。


「さてさて、今日こそは進捗を上げなくては・・・。」


 不景気なこのご時世、いつ首を切られてもおかしく無い。今のままで再就職できる自信も無いので、今のうちに何かスキルを得ようと、何か出来る様になろうと、毎日ノートパソコンを開くのだが、誘惑に負けてゲーム機の電源をつけてしまう。


 日頃の習慣を変える事は難しい。


「やはり、漠然とした目的ではやる気も起きないよな・・・。」


 生活のためという目的で始めた事だが、自分でも浅はかだと思う。50歳手前でいきなり全く違う事を習得できるとも思えない。なので、今やろうとしている事は、簡単なスマホのゲーム開発をしつつ、スキルを得ようと考えている。


 これも浅はかな考えとわかっているが、ゲーム動画を編集して、いつか配信しようとも考えている。形から入る私は、ゲーム動画をパソコンに取り込むためにゲームチューナー(1万8千円)を購入し、動画編集ソフトもサブスクリプション契約もした。


 だが、いまだに編集ソフトを起動すら出来ていない。学生時代から参考書を買って満足してしまう駄目な奴なのだ。わかっているのだが、半世紀も変えられなかった事をいきなり変える事は本当に難しい。


 現在、お金が無く、仕事もなかったら全力でやるのかも知れないが、なんとか仕事はあって、年相応よりは少ないが給料を貰っているので、必死になれないのだ。


 でも、おそらく近いうちに首が切られそうな気がする。今の職場には五年前にスマホアプリエンジニアで参画していた。この職場は当初、他社に開発を依頼していた会社で、内製化する事に決まった最初のエンジニアが私だった。最初のエンジニアなので、ある程度ちやほやされて、リーダーを任されたりした。


 だが、プロジェクトも大きくなり、私より若くて頭の柔らかく、技術力も高い人材が入ってくると、エンジニアとしてはお荷物になり、ディレクション業務に回されてしあった。


 ディレクションがエンジニアより劣る訳では決してなく、とても大変な業務ではあるのだが、初期メンバーを簡単に切れない会社側のお情けで、ディレクションという名のほぼ雑用業務を頂き、なんとかしがみついている状態である。


 初期の仕様とかは分かっているので、少しは貢献できている様だが、私に払っている給料には見合っていないと会社は思っているに違いない。


 ディレクションもうまく回せていないし(私はそう感じている)、技術も古く、最近のスマホ開発言語は全く読めない。


 でも、一エンジニアの端くれとして、簡単なアドベンチャー形式のゲームを作って、公開したいと考えているのだが、タイミング悪く、最新のゲームが発売され、ダウンロード購入してしまう。


「はあ、やっぱり、死ぬような目に会わないと私は変わる事は出来ないな。」


 ノートパソコンを閉じてゲームがダウンロード出来たのを確認して現実逃避してしまうのだ。


「まあ、このゲームに飽きたら、今度こそゲーム作る。あと動画も配信する。きっと。」


 ゲームだったら、こんなちまちましたレベル上げ、スキル熟練度上げも全く苦ではないのだが……。


 特に熟練度パラメータがあるゲームがとても好きで、死にスキルと呼ばれる人気のないスキルの熟練度をめちゃめちゃ上げるのが好きだ。


 ゲーム仲間(オンラインゲームのフレンド)からは変態とよく言われる。


「だが、確かに使えないな、このスキル。だが、使い込めばいつか使えるようになるはず、ゲーム開発者もそれが分かって作っているはずだ、きっと。」


 引き立て役のスキルの可能性もあるが、それでもやってしまうのは、負け犬根性というものなのだろうか。私も誰か使える様に鍛えてくれないだろうか。こんなおじさんを好き好んで鍛える人はいないだろうが。


 最新のファンタジーゲームを起動し、缶チューハイを開ける。



 目が覚めるといつもの小汚い1ルームの部屋ではなかった。薄暗い場所で床に見たことのない文字と模様が光を発している。夢でも見ているのかと思ったが、体の感覚に現実感がある。


 だが違和感もあった。なんだか手足が短く感じる。全体的に体が小さい、子供のような手足、鏡がないから分からない。


 昨日、飲み過ぎたか、早く目を覚まさないと、今日も一瞬で休日が終わってしまう。……。いや、やっぱり精神は覚醒していると思う。なんだこの違和感は、私は飲みすぎてとうとう死んだか?


 これはあれか?異世界転生。


 最近読んだ本で言うと、勇者召喚されて、超強くなって、世界救って、ハーレムエンドだったか。


「マジか!」


 いやいや、そんな都合の良い話がある訳はない。やっぱ飲み過ぎと、寝る前に読んだ漫画の影響だな。


 身悶えていると、長身でファンタジーコスプレしたローブ姿の人物が私を見下ろしているのに気付く。


「勇者様、私の言葉がわかりますか?」


 綺麗な女性の声だった。


「あんたは?これは夢だよね。」


 夢の中の住人に夢かを問いかける。

「勇者様、夢ではありません。勇者様は、必要とされてこの世界に呼ばれたのです。」


 いやいやいやいや、だって、私は40後半の酒とゲームをこよなく愛するオタクおじさんで、なんとか騙し騙し仕事をして、いつ切られるかを心配しながら生きている負け組が勇者とか。


「勇者様、利き腕がわかりますか?」


言われて、両手を降ってみる。多分、右利きかな。


「右利きの様です。」


「では、左腕をこちらに出して頂いてもよろしいですか?」


 言われるがまま、左腕を出す。女魔術師っぽい人に左腕を突き出すと、左腕の手首のあたりに手を乗せ、呪文の様な言葉を唱える。


 ズキっとして慌てて腕を引っ込める。痛い!なんだ、何が起きた!左手首に何か入れ墨の様な模様が書かれている。なんだ、これは。マジ痛い。夢なのに。


「その模様に右手のこの指を乗せ、手前になぞってみてください。」


 右手の人差し指を腕の模様をなぞる仕草をする様に言われる。


「こうか?」


 すると、空中に10インチタブレットの様な画面が表示される。プロジェクションマッピングか?腕を動かすと、同じ様に画面がついてくる。


「そこに、勇者様の体の情報が全て表示されていると思います。その画面は人に見せることも可能です。操作方法はこの紋章を腕に書いた時点で、勇者様にはわかる筈です。」


 なんでか分からないが操作方法がわかる、ほぼスマホやタブレットの様なタッチ・スワイプ形式で、所々がリンクになっていて、その意味が表示されたりする。


「なんと!自分のパラメータが数値でわかるのか、便利だ!」


「勇者様の世界にはこう言うものは無いのですか?」


「そりゃあ……。」


 いや、無い訳では無いか、スマートウォッチで心拍数や脈拍がわかったり、体重計では筋肉量や体脂肪もわかる。このウインドウほどでは無いが、生態情報を取得する事は出来ない事はない、その情報を計算し、世界共通の能力値に表示する事は、理論上可能だ。


 そもそもキログラムとかも世界共通単位なのだ。握力が60キログラムというのも、ある意味『筋力:14』とか表現しても良いはずだ。もちろん実現にはとても難しいが、遠い未来では可能だったかもしれない。


 この腕の画面は生態情報を正確に集め、それを表示しているだけで、ただ本当に魔法の様な事で実現しているのだろう。


「ある事はあるけど、この腕の画面ほど優秀ではないかな。」


「これは『真実の鏡』と呼ばれる物で、この魔法は一生外れる事はないものです。この世界で生を受けた人間は全て幼少期に国や街、村で必ず行われる魔法です。今からちょうど1000年前くらいに、大賢者アンドゥーによって作られた魔法です。」


 大賢者安藤?


「大賢者アンドゥーによって革新的な発明をいくつも世に残しました。この魔法により、生態情報を表示する事で、人間にはパラメータとスキルという概念が存在していることがわかり、以前までなんとなく発動していたスキルが明示的に取得し、発動できる様になったのです。」


 子供に聞かせるように、優しく説明してくれる。


「おそらく、勇者様のもステータスやスキルの一覧が表示されていると思います。現在までに発見・解析されたものは説明がでます。もし、未知のものがあったりすると、それを賢者の塔に言えば大きな恩賞がもらえますよ。」


 夢じゃないっぽいな、こんな詳しく説明される夢はないと思う。そもそも、こんな知識を私自身知らない、と思う。なら、やはり私は勇者召喚されたのか?キタコレ!

まさかの私の時代が訪れた。


 転生ものでみんな若返ったりしている主人公がいたけど、そういうことか、私は今、人間の子供に転生したのか、これから第二の人生、波乱万丈の人生が始まるのか!


 とりあえず、まずこの女魔術師さんにお礼を言っておくか。見上げてお礼を言う。


「いえいえ、どうですか?勇者の能力が確認できますか?」


 膝に手を置いて覗き込むように見下ろしてくる。


(女性に見下ろされるのもアリやな。っと、変な性癖に目覚めそうなので、ステータス画面に集中してみる。)


種族:小人族

人族の半分ほどの身長で、成人しても人族の子供の様な容姿。耳はエルフの半分ほどで尖っている。人族の子供との違いを判断するには耳ぐらいしかない。


身体的特徴は手先が器用で、素早い動き、筋力と魔力が低く、直感力と精神力が高い。小人族は自分達の集落を造らず、人族の環境に入り込み生活している。


主なクラス:盗賊、斥候。


 人間の子供じゃない!?なぜ人間ではないのだ!?


称号

・召喚勇者(儀式召喚)

異世界から召喚された人間。召喚時に強力な能力が付与される。


 やっぱり勇者として召喚されたのか!だけど、なんで私だったのか、もっといい人材いるだろうに、なんだったらオリンピック選手や自衛隊の隊員とか肉体はともかく戦闘経験豊富な人はいくらでもいるだろうし・・・。


 それに『儀式召喚』とはなんだろう『自然召喚』とかあるのか?


 ん?召喚勇者のところがリンクになっているな。


 召喚勇者の文字をタッチしてみると、小さいウインドウが現れ、召喚勇者について説明文が書かれている。


「人為召喚勇者で選ばれる人材の条件は、勇者の元の世界のバランスを崩さないために、その世界で多くの人に影響を与えず、居なくなっても世界があまり困らない人材が選ばれる。ただし、召喚時にほぼ強大な力が付与されるので、能力は基本、気にする必要はない。」


 ……(笑)笑うしかない。間違ってないけど、あまり必要とされてないのも知っているけど!


「召喚時に転生の形をとる場合、器を用意する必要は無いが、種族は決めておかなければならない。」


 これこれ、なんで小人族にしたのだろう。この姿では剣や鎧が装備でき無さそうだが……。後で理由を聞いてみるか。他には・・・。


能力値

筋力:6 (+20)

器用さ:12(+20)

敏捷さ:12(+20)

体力:7(+20)

魔力:3(+20)

知力:10 (+20)

直感力:12(+20)

精神力:12(+20)

耐久力:420 (体力*10+レベル*10)

魔法力:480 (精神力*10+レベル*10)

物理防御:13(体力/2)

魔法防御:16(精神力/2)


 やっぱり小人族は戦士向きではないな、だからと言って魔法使い向きでもない、どちらかと言うと盗賊系か、勇者としては良い選択ではない。


 あ、でも盗賊系の主人公のファンタジーゲームってたまに見かけるよな・・・。

まあ、勇者補正で大した問題ではないのかもしれないが。


特殊能力

・勇者の素質

基礎パラメータを全て20加算される。


あらゆるスキルと魔法を習得できる素質をもち、最初から全て取得条件10レベルのスキルと魔法を習得。


モンスターを討伐したときの経験値を10倍にする。

 

・マジックボックス

  異空間にレベル立方メートルの容量を倉庫として使う能力。重量を無視し、アイテムを入れた瞬間そのアイテムの時間が停止する。知力が8以上の生物は自動抵抗され入れることができない。


・火神霊の加護

  火属性のスキル・魔法のあらゆる威力を2倍にする。

・水神霊の加護

  水属性のスキル・魔法のあらゆる威力を2倍にする。

・風神霊の加護

  風属性のスキル・魔法のあらゆる威力を2倍にする。

・地神霊の加護

  地属性のスキル・魔法のあらゆる威力を2倍にする。

・光神霊の加護

  光属性のスキル・魔法のあらゆる威力を2倍にする。

・闇神霊の加護

  闇属性のスキル・魔法のあらゆる威力を2倍にする。


スキル

・鑑定

  視認したアイテムの性能を調べることが出来る。レベルの高い物、レベルの高い人物が身につけている物の鑑定は失敗することがある。(失敗してもわかる範囲で鑑定可能)


・言語(人族語)

  不自由なく読み書き・会話が可能。

・言語(神霊語)

  不自由なく会話が可能。

・言語(エルフ語)

  不自由なく読み書き・会話が可能。

・言語(ドワーフ語)

  不自由なく読み書き・会話が可能。

・言語(東方語)

  不自由なく読み書き・会話が可能。

・言語(西方語)

  不自由なく読み書き・会話が可能。



「勝ったな!」


 まあ、何と戦わされるか分らないので、少し怖いがこの能力・スキルがあればなんとかなるだろう。ただ、小人族と言うのがちょっと……。まあ、スライムや犬で無かっただけましか……。


「どうですか?ちゃんと勇者の力を授かっていましたか?」


 女魔術師が屈んで私を見下ろし話しかける。


「はい、どんな敵がきても勝てそうな気がします。」

 

 浮かれていた、元の世界から不要扱いを受けて自暴自虐からの勇者による勝ち組転生で大喜びをしてしまった。


 チリっ、何か邪悪な気配がする。これも勇者補正で鋭くなった、直感力のおかげか?女魔術師の背後に気配を消した『魔物』を認識する。


 それが少なくとも『邪悪』で『敵対』し、女魔術師に危害を加えようとしている事がわかった。


 勇者能力すげ〜!


 女魔術師に被害が出ないように、その『魔物』(鑑定スキルによりデビルビジョンという魔物であると認識できた。)を魔法で倒す、倒せるとわかる。


 不思議な感覚だ。自分の中に別の自分がいる様な感覚、そもそもそれもどんな感覚だろう。とりあえず、あの魔物を倒す。


 攻撃魔法で倒す、魔法は『ホーリージャベリン』で一撃、発動方法は・・・、なんだろう魔法を発動するスイッチが意識の中にある。


 それを押して発動、体に『魔力』が流れ、魔法が具現され魔物に飛ぶ。

一連の動きが自分の記憶外の事で、とても気持ち悪い。


「ホーリージャベリン!」


 指先から中級光属性の魔法、光の槍が飛び出し、女魔術師の肩の生物を破壊する。

女魔術師には怪我はないようだ。


「な、何を!……、これはデビルビジョン!気が付かなかった……。あちらはもう勇者召喚が行われた事を知っている!?」


「とっさにやってしまったけど、良かったのかな?怪我なかったですか?」


 ちょっと、よくよく考えるといきなり攻撃魔法を放つなんてヤバイ奴と思われたのではないかと心配になった。


 あ、さっきの魔物1匹で次のレベルまで後、1000ポイント、さっきの魔物は経験値100だったのか。10倍経験値美味しすぎ!


「い、いえ、ありがとうございます、勇者様。もう猶予は無さそうですね。行動に移さないと……。」


 女魔術師はお礼を言って、私の両脇に腕を回して抱き上げる。

おお、何十年前の懐かしい感覚!子供の頃の懐かしい感覚といい匂いのする女性に抱き抱えられている恥ずかしさ(49歳だけど女性経験が少ないので、こじらせているのだった。)で意識が少し飛んでいた。


 そして、女魔術師は私を魔法陣の描かれた台座に下ろした。


「えっと、今から何を?それより色々と説明して欲しいのだけど・・・。」


 女魔術師を見上げて話しかけるが、何かぶつぶつ呟きながら、私に手を向けたと思うと、ガラスの筒のような物が魔法陣ごと覆う。


 え!?なんだ!?閉じ込められた!?


「な、何をする気だ!」


 透明な壁越しに周囲を確認すると、魔法陣から光の筋が出ていて、その先にもう一つの魔法陣と祭壇があり、何者かが寝かされているように見える。


 壁越しまで女魔術師が近付いてきて何かを話し掛けてきた。


「勇者様、申し訳ありません。」


 すまなそうな顔で訴えかけてきた。


 おいおいおいおい、すまなそうな顔ってヤバすぎでしょ!どう考えても良くない事しか起きないでしょ!


 怖くなって必死に壁を叩く、頭の中で格闘スキルが閃き打ち出したが全く効かなかった。勇者補正が効いていないようで、小人族の筋力だけではびくともしない。


 女魔術師は何かぶつぶつ唱えだし、足元の魔法陣が赤く光出す。そしてその魔法陣から伸びる光の線を辿って赤い光が祭壇に進んでいく。すると、急に身体中の力が抜けていく感覚に襲われ、崩れるように座り込んでしまう。


 「何だ!?」


 か、からだの力が抜けていく。咄嗟にステータスを開く。ステータス画面の中央にもう一つのウインドウが表示され、どんどん文字の羅列が表示されていく。


# 「勇者の素質」の移行を開始。

#  勇者補正パラメータの移行を開始します。

#  勇者補正パラメートの移行が完了しました。

#  スキル・魔法の移行を開始します。

#  一部のスキルが移行先にすでに存在したため、以下のスキルを返却します。

#  言語(人族語)

#  経験値取得補正能力の移行を開始します。

#  経験値取得補正能力の移行でエラーが発生しました。

#  解析中・・・・・・・・。

#  経験値取得補正能力が使用され、本体と能力の結合度が

#  高い為エラーになりました。再度、移行を開始します。

#  経験値取得補正能力の移行に成功しました。強制的に移行した為、

#  移行元の経験値得機能が破壊されました。

#  移行先本体に問題は見受けられません。

#  マジックボックスの移行を開始します。

#  マジックボックスの移行に失敗しました。

#  前工程の強制処置の為、以降の処理が正常に処理されません。

#  再度、移行処理を実行しています。

#  失敗しました。

#  再度、移行処理を実行しています。

#  失敗しました。

#  再度、移行処理を実行しています。

#  失敗しました。

#  再度、移行処理を実行しています。

#  失敗しました。


 永遠と思える痛みの中、朦朧とステータス画面を見ていた。

もともと、勇者の力だけが目的だったから、抵抗能力が低い小人族を器に選んだのか。


「頭いいじゃん……。」


 元の世界からも不要枠で異世界でもこの扱いは笑うしか無いな。


「ハハハハ。死ぬのか……」


 死ぬ前に女の子とイチャコラしたかったなあ……。


「いや、死にたくない!死にたくない!死にたくない!女の子とイチャコラ出来なくてもいい、どんな状況でもいいから生きていたい!」


生きて……、生きていたい……。意識が途切れそうになった時、一瞬女魔術師が泣きそうな顔でこちらを見たように感じたが、もうどうでもよかった。

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