第42話 愛を誓う

夏が終わり、秋が来て、寒い冬がやってきた頃、一通の手紙が届く。

それは家族が待ち侘びていた通知だった。

純は涙を流し喜び、父も健二も、そしてあの老夫婦も心から喜んでくれた。


「ジュン、少し散歩をしないか?」

店の看板を閉まった頃、ジェフリーが純を誘う。

「こんな時間にどこに行くの?」

不思議そうな顔でジェフリーを見つめる純に、ジェフリーは手を差し伸べる。

純はその手を取って、ジェフリーへと歩み寄る。

「少しだけだ。父殿がまだ夕食に時間がかかると言っていたから、それまで散歩をしてこよう」

「そうなの?じゃあ、コートを取ってくる」

純はそう言って2階へと走る。

しばらくして2人分のコートを持ってきた純は、一つをジェフリーに渡し、もう一つを羽織ると、ジェフリーの手を握った。

ジェフリーはその手を、自分のコートのポケットに入れ、ドアを開け外へと歩き出した。

外はすっかりクリスマスモードになっていた。

大通りの街路樹には綺麗なイルミネーションが飾られ、至る所からクリスマスソングが流れる。

そんな中を、綺麗だねと言いながら2人は歩いて行く。

ジェフリーの宣言通り、少しだけイルミネーションを見た後、帰りながら公園へと向かった。


公園のベンチに、温め合うかのように寄り添って腰を下ろすと、ジェフリーが口を開く。

「健二殿が教えてくれたんだ。クリスマスのイルミネーションは恋人と楽しむのが一番綺麗だと・・・。本当に素晴らしい。元の世界ではこのような景色は見れなかった。それに・・・」

「それに?」

「イルミネーションの中で見る恋人の姿は、いつもの倍ほど綺麗だと言っていた」

その言葉に、何を言っているのと、純が顔を赤らめる。

ジェフリーは笑みを浮かべ、純の頬を撫でる。

「いつものジュンは可愛らしいが、今日は本当に綺麗だった。煌めく光の中にまるで天使のようだったぞ」

「ジェフリーさん・・・」

次から次へと照れくさい言葉を発するジェフリーに、少し呆れながらも顔を赤らめる。

ふとジェフリーが撫でていた頬から手を離し、ズボンの後ろポケットから小さな袋を取り出し、純の目の前で中身を取り出す。

そこには、二つのリングがジェフリーの掌に乗っていた。

「本当はもっといいやつを買いたかったのだが、私にはこれが精一杯だった」

苦笑いしながら、リングを一つ取ると純の薬指にはめる。

そして、もう一つのリングを純に手渡すと、自分につけてくれとばかりに手を差し出す。

純は促されるまま、ジェフリーの手を取り、リングをはめていく。

「正式にこの国の民となった今、純と愛を誓いたい。ちゃんとした夫婦にはなれないが、結婚式とかはあげれると聞いた。だが、私の手続きに多くのお金を使ってしまったから、今はこれだけで我慢してくれるか?」

「ジェフリーさん・・・これで十分だよ」

純は嬉しそうに笑顔を浮かべ、繋いだ手の互いの指を見つめる。

「ジュン、私はジュンを心から愛している。この先もずっと変わらずに、ジュンを愛し続ける。この指輪とモンタナという名にかけて、ジュンへの愛を誓う。これからもずっと私の側にいてくれるか?」

真っ直ぐに純を見つめるジェフリーの瞳に、純の姿が映る。

その姿を見つめながら、純は目を潤ませ、満面の笑みを浮かべた。

「僕もジェフリーさんを心から愛してます。この指輪と僕の名前に誓います。心安らかな時も、病める時も、ジェフリーさんを心から愛し、ジェフリーさんの側に居続けます」

「ジュン・・・ありがとう。私に会いに来てくれて、出会ってくれてありがとう。そして、こんな私の幸せを願ってくれてありがとう。ずっと2人で笑って過ごそう。幸せだと言いながら一緒に時を過ごそう。ジュン、愛している」

「ジェフリーさん、気味の悪いうさぎの僕を側に置いてくれてありがとう。そして、愛してくれてありがとう。僕も愛してます」

純の頬を伝う涙をジェフリーが唇で受け止め、何度もキスを落とすと、そっと唇に触れ、長くて熱いキスを交わした。

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