心霊写真

 叔母さんの写真をスマホの中から探しているうちに、奇妙な一枚を見つけた。

 一か月前に、旅行に行った時に撮った写真だった。温泉への身内だけの一泊旅行だったから、写真の叔母さんはカジュアルな格好のパンツ姿だ。その片足がのだ。ぼやけているとかではなく、足のあるの場所にはきれいに背景が写っていた。


 そういう写真は、守護霊が『怪我をするかもしれないので気をつけて』と警告しているのだと聞いたことがある。

 私はその写真をじっと見つめた。

 希望が湧いた。

 それは一縷いちるの望みというものかもしれない。

 ただ。もしかしたら。




 そのあと、テレビが飛行機墜落事故の続報を伝えた。その画面で叔母さんの名前を見た。

 重傷ではあるけれど、生存者のリストに。

 おそらく片足を切除しなければならないのだろう。私はスマホの写真を見て、ひどく長い溜息を吐いた。

──生きていてくれて、本当によかった。

 

 生存者は絶望的というのが墜落事故の最初の一報だった。遺影として使える写真を探してほしい、といわれてが見つかったなんて。この話をしたら叔母さんはいったいどんな顔をするだろう。

 私はその時の彼女の表情を想像して、少しだけ笑った。



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