手作りハンバーグ

 少し熱が出て会社を休んだ。ベッドで寝転がってスマホをいじっていると、それが偶然に目に入った。

 バフー知恵袋のに載っていたとある質問。

『ミミズは漢方に使われるほど薬効があると聞きました。すり潰してハンバーグに入れて焼いても大丈夫でしょうか?』

 グロっ。

 私は虫とか触るのも一切ダメなので、想像するだに恐ろしい。コオロギを食うとか考えた奴死ね。死んでしまえ。

 そんな妙な質問にも回答されいるのも怖い。

『ミミズは泥を食べている生物なので、そのまま潰したんでは激マズだと思う。薬効は知らんが毒性は住んでいる土壌によるのでなんともいえない。リスクの方が高いと思う』

『誰に食わせる気なんだ。まさか自分で?』

 質問者からの補足があった。

『友人に食べさせてみましたが大丈夫なようです。みなさま御回答ありがとうございました』

『うわぁ、友達に食わせたのかよ』

『友人かわいそう』

 そこまで読んだとき、玄関の呼び鈴が鳴った。

 誰だろう。昼を回ったばかりのこんな時間に。

 タケルだった。まあ、私の彼氏といってもいい存在。


「バフ―知恵袋ってあるじゃん。あれ、意外に役に立つな」

「……どういうこと?」

「夕食にハンバーグ焼いてあげようと思ってさ。病気の時には栄養つけなきゃな。書き込んでみたんだ」

 私は言葉を失った。冷たい汗が背中を滑り落ちる。

 まさか……まさか……。

「ねえ、そのハンバーグ、誰かに食べさせたことある?」

「よく知ってるな。弟がうまいって食ってたよ。……ああ、何を心配してるのかわかったよ」

 タケルは機嫌よく、持参した荷物を広げた。

「安心して、ハンバーグのタネはちゃんとクーラーバッグに入れてきたからさ」

 

  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る