ここで降ります
スーパーといっても、映画館とか専門店などがいっぱい集まっているところです。両親と一緒に車で出かけることもありますが、バスを使って一人で行くときもありました。
その日もいろんな店を見て回って少し疲れてしまった正子ちゃんは、帰りのバスに乗り込むと、ふうと座席にもたれかかりました。あまり混んでいないようです。三人くらいの乗客とともにバスは発車しました。
まだ窓の外が明るい時間なのに今日は空いているなあ、と正子ちゃんは思いました。
疲れからくる眠気と闘いながら、降りていく乗客たちを見ていました。
寝過ごしてしまったら結構な距離を歩かなくてはいけません。
とうとう乗客は正子ちゃん一人になってしまいました。自分で壁際についている降車ボタンを押さなきゃ。
と、思いながら、ついうとうとと……。
ピンポーン。
降車ボタンの音ではっと正子ちゃんは目が覚めました。運転手さんのアナウンスが、ちょうど正子ちゃんの降りる停車場の名前を呼んでいます。
「あ、私、降りまーす!!」
正子ちゃんは慌てて荷物をつかみ、バス賃を払って降りると、正子ちゃんの背後でドアが閉まり、バスは走り去っていきました。
「……あれ?」
降りるときには、もうお客さんは正子ちゃん一人だったような。
いったい誰が、降車ボタンを押したんだろう?
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