面倒な犯人

 ジャックは1月1日に逮捕された。

「俺は何もやってない。なんで逮捕されるんだ」

 警官が言った。

「お前、日付が変わったときに銃を何発か撃ったろ。酔ってたにしろ祝砲なら実弾を撃つなよ、阿呆」

「いや俺は空に向けて撃ったんだ。何にも壊したわけじゃないし、まして人を撃ったりはしていないぞ」

「お前は重力というものを知ってるか? 空に撃った弾はいつか落ちてくるんだよ。その中の一発が人に当たったんだ。銃弾の検査結果から、お前の銃から撃ったものだということは間違いない」

「──そんなの知らねえよ……」

「ただなあ、その天からの銃弾が足に当たった奴というのが女をレイプしようとした男だったんだ。おかげで未遂で済んだ女から減刑の嘆願書も出てる。新年から面倒な事件を起こしやがって。書類にサインしたら帰っていいぞ」


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