宝さがし   (Not 意味怖)

 海賊がお宝を隠したという島に到着した。

 トレジャーハンターの仲間内では有名で、すでに何十人も島を訪れているにも関わらず、いまだにそのお宝は発見されていない。

 大きくはない島だが、それらしいところは全部探されているらしい。港がわりに使われている浅瀬に着くと、俺は飄々ひょうひょうと真っ白な珊瑚の砂の上に降り立った。

 すぐ前に、一抱えもありそうな石碑がある。

『宝はここに隠してある。山頂の一本杉の影が大きな鳥に落ちるとき、静かな風の吹くほらに黄色い花が咲くだろう』

 俺は石碑の文字を読んだが、さっぱり意味が分からない。そもそも南国の孤島に杉が生えているわけがない。


 けれども俺には、宝のありかが判った。

 力を込めてハンマーを石碑に振り下ろす。

 モルタルのような破片が飛び散り、皮がむけるように金塊が顔を出した。


 宝はと最初から宣言していたのだ。あとの文はそう、ただの目くらまし。

 血眼になって探しに来た男たちの目の前に宝を置いておくなんて、全くもって意地が悪い。それを見抜いた俺の方がひねくれ方では上か。俺はにやりと笑った。


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