ロジータ、ダンジョンから脱出する

第4話 まずは現状把握です(1)

 軽く昼寝? 夜寝? をして、スッキリしました。ロジータ、10歳です。

 さすがに小腹がすいたので、キッチンにいって『冷蔵庫』を覗き込んでみました。なんと、牛乳とチーズ、ハムの塊に、『桃』がいくつか入っています。

 いえ、これは『桃』ではなくて、ネクタムでしょうね。皮ごと食べられるヤツです。運がいいです。

 食器棚に懐かしいマグカップが見えたので、取り出します。シンプルな黒い厚めのマグカップ。せっかくなのでミルクティでもいれましょう。カウンターには茶葉の入った缶が並んでいます。このテント自体が時間経過のないインベントリの中にあったので、きっとこの茶葉も問題ないはずです。

 私は『ガスコンロ』ならぬ魔道コンロをつけて、小鍋で牛乳を温めて、久々にミルクティをいれました。今世では、初めてです。


「はぁ、美味しい」


 私は固パンにスライスしたチーズとハムを挟んで食べました。

 うん、やっぱり美味しい。自分で言うのもなんですが、さすが『フロリンダの遺産』です。


 10歳とはいえ、過去の記憶を思い出したせいか、何をするにも、前世に引っ張られている感じがして、大人びた思考に変わってしまったようです。

 ふと、先ほどのインベントリの『画面』のことを思い出しました。


「そういえば、あんなの、フロリンダの時にはなかったわね」 


 フロリンダの時にインベントリから物を出すときは、欲しい物を思い浮かべるだけで、物そのものを手にしていました。なので、一方で死蔵している物がどれくらいあるのか、わからないくらいだったのですが、こんな風に一覧化できるのは……前々々々世の記憶のせいでしょうか。

 前々々々世では、『パソコン』を使って仕事をしたり、『ゲーム』や『映画』や物語などで『ファンタジー』に親しんだ記憶が、微かに残っています。


「だったらもしかして……『ステータス』」


 ヒュオンッと、目の前に、『A3』くらいの大きさの半透明な『画面』が現れました。


「お、おお~」


 映し出されたのは、まさに私の『ステータス』。


 ▶名前 ロジーナ・エデルギス

 ▶種族 黒豹族(エルフ族とのハーフ)

 ▶年齢 10歳


 ▷HP 46/85(9999)

 ▷MP 5/15(∞)


 ◆魔法

 生活魔法 地魔法 水魔法 火魔法 風魔法

 (光魔法)(闇魔法)(聖魔法)(精霊魔法)(召喚魔法)


 ◆スキル

 体術 小太刀術

 料理 裁縫 

 宮廷マナー

 農耕 解体 採取 採掘 

 鑑定 看破 隠蔽 探知

 身体強化 夜目 (精霊眼)

 精神攻撃耐性 状態異常耐性

 インベントリ<無限収納・時間経過なし>


「……なんか、色々おかしくない?」


 思わず零れる言葉。

 まずは『種族』。

 私、猫獣人だって言われてきてたんですけど。

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