第19話 夢のなかの一筋の光

Ai Ai は妻が亡くなってから夜になると、誰もいない公園のベンチに腰かけ、満天の星を見上げました。そこに佇んでいると、光る星のひとつから見つめられているのを感じました。あたりは静寂に包まれAi Ai と光る星だけになりました。            Ai Ai の息子は夜遅くに年老いた父が近くの公園のベンチに降りていって、しばらく過ごしていることは知っていました。いつもはどこか悲しそうにしている父がベンチから帰ってきたら、何かつきものが降りたように生き生きしているのが不思議でした。父は何かをしに階下に降りていきました。雨の降るとき以外は、孫が寝付いた頃を見計らって、Ai Ai は階下に降りて行きました。息子はたとえ何であっても、気晴らしになればいいんだと思いました。    

                    Ai Ai はあなた様を待ち続けました。時は流れ、宇宙の果てから宇宙船がやって来て、地上は光に包まれました。          Ai Ai は満天の星のもとで妻を感じました。しかし、その日は夕方から雨が降りだして、階下に降りてベンチに行けなかったAi Ai は早めに寝床につきました。彼は雨が降りだしてがっかりしていました。夢のなかで闇のなかに一筋の光が現れ、遥か向こうから光輝く何かが妻を抱えてやってこられました。目を細めてじっと見て見るとデータベースで見た弥勒菩薩でした。妻は亡くなった頃の妻で、ミロク様はお前の願いを叶えにやってきたから、雨の日に悲しむことはないとおっしゃりました。ミロク様はAi Ai の顔を見て笑われました。笑い声が聞こえたと思うと、ミロク様は再び光となって遥か向こうに消えられました。そして、闇がAi Ai を包みました。朝になってベランダから部屋に光が差し込みました。ぐっすり寝ていたAi Ai はその光に目覚めました。昨晩見た夢はとても夢とは思えないほど鮮明でした。          食卓につくと、TV の朝のニュースで光輝く宇宙船がやってきたと大騒ぎになっていました。画面に映る宇宙船は流線型で、今まで見たもののなかで一番美しく、輪郭がぼやけて、物体というより光そのものでした。子供のころにデータベースで見たスタートレックやスターウォーズのなかに登場した宇宙船が画面に映しだされていました。地上のものはその強い光に驚きました。宇宙船の上に、ほっそりとした何かが立っておられました。そのものは光そのものとなって、指先から強い光を出されました。

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