やっと読み終わりましたので、遅まきながらおすすめさせていただきます。
とても読み応えがありました。
芸能、ボディーガード、歌手。要素それぞれがきちんと物語に組み込まれていて、登場人物を引き立たせています。
描写が丁寧で、前振り、行間とも想像力を掻き立てます。
事務所、病院、私室、ライブ会場等々、どのシーンも印象に残りました。映像が目に浮かぶようです。
そしてサスペンス。
ひたひたと這い寄るような不気味さが表現されていて。
緊迫感の表現が素晴らしいです。佳境に入ってからは続きが気になって、一気に読んでしまいました。
気になる百合については……はい。
感想にも書かせていただきましたが、まさに。
寄り添うようで、とてもよかった。
振りをしっかり踏まえた告白。素敵でした。
汚濁の道を手を繋いで疾走するような物語で、その脇に大切に育てた百合の花が咲いています。
10万字長、中編には長いですが、満足できる作品です。
是非に、お読みくださいませ。
一に音楽、二に自分を求めてくれる人、三四はなくて…な、自分の音楽さえ害さなければどんなに自分が被害を被っても求められたら答えてしまうアーティスト琥珀。スキャンダルまみれの琥珀のボディガードとして一緒に行動するようになったザクロは、あまりのひどさに私生活までお守りをすることになってしまう。そんな中、琥珀のスキャンダルにはいろいろな思惑や裏がありそうなことにザクロは気づく。
最初は嫌々だったザクロも琥珀と一緒に過ごすうちにだんだんとその行動に慣れてきて仏頂面の中に笑顔を見せるようになる。ふと会話の中で見せる笑顔や、言葉に琥珀は…。
まだ小さな片思いの芽を育てるような二人が、なんだかチラチラとお互いを気にしあうのをみて読者としてはもどかしさを楽しめる作品です。
※男性は出ますがたぶんザクロが蹴散らしていくと思うので、安心して読めます。