第9話 逃走

息切れしながら必死に足を動かす。

後ろからカツン、カツン、カツンと早いテンポの音がさらに急かす。

石畳は四方八方に別れ道になっており、右や左と相手を撒くように走っているが、まだ音が追いかけてくる。

そろそろ足が限界。。。

「こっち!」

甲高い声が先の曲がり道から聞こえる。信じるかどうかよりも後ろのアレから逃げるの先だと思った。

道を曲がると一件だけ建物の扉が空いていた。

「中へ!」

飛び込むように中に入ると、後ろで扉が閉まる音がした。複数のアレのカツン、カツンという音が建物のすぐそばを練り歩いているのが分かる。そのうち、音が遠のいていき、何も聞こえなくなってきた。

「もう大丈夫かな」

部屋の隅から聞こえる声の主のほうに振り向くとまたもや驚愕した。

今度はモフモフとした白い小形犬(ポメラニアン)が口を聞いていた。首にピンクのバンダナを巻いている。

「あんたが喋ったの?」やっと言葉が口から出た。

「そうだよ。他に誰もいないでしょ。僕はヨナガだよ。」モフモフのヨナガはそう言うと、こっちに来てと部屋の奥に向かった。

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