第55話 プチ歓迎会、デザート付き
自宅の庭で、少年が薪を割る。
薪を割るのに、斧を出していたのに、ライ君は手刀で薪を割っていた。
戦闘民族、半端ない強さだわ。マジぱない。
「薪割りありがとう、ライ君、その辺でいいよ、晩御飯にしよう」
「ハイ」
テーブルに出来上がった夕ご飯の料理を並べた。
作ったのは私とコウタだ。
紗耶香ちゃんはその間、お風呂の掃除と準備をしていた。
「鶏肉の照り焼き、白米、お味噌汁、ツナコーンとレタスのサラダだ」
ライ君用にコウタがメニュー名を教えたらしい。
一品ずつ指を差していたのである。
「どうぞ、召し上がれ」
私も食べるようにすすめる。
「いただき〜。ん、今日の照り焼きもウマタン」
「アノ、ドレイ、アルジヨリ、アトニ……」
ライ君は奴隷と主人が一緒に飯を食うのはおかしいだろうと言いたいらしい。
「他はともかく俺たちの所に来た者は皆、一緒に食べるんだ、ほら温かいうちに食え」
「ほら、ね、大丈夫だから、ライ君も食べて」
「そうだよ、食べなよ〜〜、ここじゃ誰も怒らないからサ」
「ハイ……」
主人に食べろと言われたんだし、食べるよね。
「鳥の照り焼き、甘辛いタレが美味しいよな〜〜」
「ハイ、オイシイデス！」
お、力強い言葉！ 本当に気にいったみたい。
「良かった」
「うん、てか今日はデザート有り？」
「そうだね、せっかくライ君が来たんだし、アイスかケーキを出そうと思う」
「マ！？ やった〜〜！ ケーキ！」
「何味を買うんだ？」
「リストにはいちごショート、チーズケーキ、チョコケーキ、モンブランがあるよ」
「俺、モンブランがいい」
「サヤ、チョコとチーズケーキどっちにしようかな〜〜」
「あ、ケーキは1パックに同じケーキが二つ入ってるやつだよ」
「あーね、コンビニやスーパーで見るやつ」
「じゃあ、今回は私と一緒でチョコケーキにしておく？
次にチーズケーキにして、私と半分こで。
ライ君はコウタと同じモンブランね」
「ああ」
「りょ。あ、ジュースも欲しい」
「ハイハイ」
私はチョコケーキとモンブランとコーラを購入した。
「やった〜〜！ ケーキ！！ それとコーラ！」
紗耶香ちゃんがケーキとコーラにはしゃいでいる。
微笑ましい。でもマジでこのスキルあって良かった。
コーラとアイスとチョコやスイーツの無い世界は辛いし。
「ライ、この炭酸ジュースは黒くてシュワシュワしてるけど、飲んでも大丈夫だからな。
慌てずゆっくり飲めばいい」
コウタがコーラを始めて経験するライ君に言い聞かせている。
「……ハイ、コレも、美味しいデス」
パチパチと瞬きをしてるけど、ちゃんと美味しいみたい。
良かった。
「ケーキもどうぞ。ライ君のは栗のケーキよ」
「とても……美味しい、デス！」
うん、よかった！
「あ、そういや次の売り物は〜？」
「せっかく肉を買ったし、串焼きとハンバーガーにしようか」
「りょ。じゃあまた寝る前に串刺しやらないとだね」
「ハンバーガーも有るし、その分、串焼きが半分に減るだし、頑張ろう」
「うん。ところで、夜は少し冷えて来たね。本格的な冬が来る前に、ライ君に冬服も買ってあげないと。
後、着替え」
「分かった。食材と竹細工の事で頭がいっぱいだった。明日の市場で見てみよう」
「アルジ。アリガト……ございマス」
「コウタ、ライ君をお風呂、入れてあげてね。髪も洗って」
「ああ、知ってるかもしれないけど、使い方を教えがてら、一緒に入るよ」
奴隷ってお湯使わせて貰えてたかも怪しいから……。
タライに水。そして水で濡らした布で拭くくらいのイメージなんだよね。
今夜は私達が先にお風呂に入って、それから二人で入るらしい。
「今夜はもう疲れたから自宅の風呂を使うけど、今度はライと一緒に風呂屋も行くか。
もう俺は一人で男湯行かなくてもいいし、情報収集出来るし」
「ハイ」
やはり一人で男湯に行くのはちょっと寂しかったのか、コウタよ。
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