振り返り



2006年 大晦日



部屋の大掃除も済ませ、隼瀬も暁美と冬未に溜まるものをだいぶ大掃除された翌日、いよいよ今年も今日で終わり、色々と振り返る3人。



「冬未に逆プロポーズされた時はたまがったなあ」



「ふふ、冬未ちゃんも自分で気持ち伝えたかったつね」



「うん、なんかあそこで隼瀬に全部言わせたらこすかかなて思ったつよね」



「冬未・・・ばってん普通は男の僕から言わにゃんもんじゃにゃあとね」



「なん、そぎゃん男だけん女だけんとか関係なく私もずっと言えんままでおっとは嫌だったけん。それにその後でお姉ちゃんが隼瀬に迫ってあんたがキスしてあげた話聞いた時も私、多分お姉ちゃんとあんたがその先までやったとしてもよかったのに、そしたら私も色々踏ん切りつくのにて思っちゃったし」



「冬未ちゃんそぎゃん・・・なら私が無理に彼氏できたとか言うた時はなんかショックだった?」



「うん、あん人隼瀬に似とったろ、なら隼瀬でよかたいて、本当の気持ちから逃げんなよて・・・隼瀬も当時はモヤモヤしよったごたっし」



「うん、まさか姉弟でこぎゃん気持ちいかんど・・・て思いよったばってん、冬未がそぎゃん思いよんの知っとったなら僕ももっとはよ・・・それが遅くなってごめんね、暁美、冬未も」



「「んねんね・・・」」



「ほんで別れる時、暁美も正直に話して色々酷い事言われたって聞いて僕も冬未も腹かいて(たって)、あん人に言いに行こうとしたつばなんで止めたと?」



「そうたい、なんでねお姉ちゃん、私達の大事な人ば傷付けて許せんたん」



「いやいや、あんた達、特に冬未ちゃんは言うだけで終わるか分からんし・・・それに私も一方的に振って向こうのが傷付いたろし、私はなんも、あんた達がおればよかったい」



「「そっか・・・」」



一時の感情に任せて、向こう側の気持ちまで考えきれず、自分達はまだまだ子供だなと痛感させられる隼瀬と冬未。でも、暁美も自分のためにそこまで怒ってくれてありがとうと2人に微笑む。



「私にとってもたった1人のお姉ちゃんなんだけん、他の誰でもにゃあ、お姉ちゃんだけん隼瀬ば一緒に愛していこうて決めたっだけん」



「ふふ、姉妹で隼瀬と結婚か」



「うん、いくら周りにおかしいて言われたっちゃ私は今のこの形がよかったもん。隼瀬もそうだろ?」



「うん、2人ともなんてやっぱダメなんかなて思いよったら、あん時冬未が言うてくれたつよね。世間の目なんかどぎゃんでんよか、僕達の一番幸せな形はこれだけんて」



「そっか・・・冬未ちゃんそんまま隼瀬独り占めもできたて優しかね」



「んねんね、優しさとか言うよりお姉ちゃんの幸せも考えたらこうするべきて思っただけたい。ほんでやっぱ自分だけ違うとも色々気になるどけん、あんなら隼瀬と同じごつ私の苗字ば通称でん名乗っときゃよかし」



「冬未ちゃん・・・」



「そっちのがいずれ産まれてくる子供も混乱せんどしね」



「確かに子供ん事考えたら、私とあんたと産んできょうだいで苗字違うとあれね・・・」



「だろ?だけんこれから葛西暁美でよかたい」



その方が私も本当に姉妹になったみたいで嬉しいしと呟く冬未に愛しさと切なさと心強さが込み上げてくる暁美。切なさと心強さってなんだよ。で、隼瀬がちょっとしたおせち料理をする間、2人きりで話す暁美と冬未。



「今度お姉ちゃんば産んでくれたお母さんの墓参り3人で行こうよ。話聞いてから行けとらんし、場所は聞いとっとだろ?」



「うん、隼瀬と私達の事も、お父さんは言うとるやろけど、私達からも報告せにゃんやろしね」



「そうね、自分の残した娘が弟と結婚して、私までってたまがらすかな」



「はは、確かに」



年が明けてから、暁美の母の墓参りに行く事を決め、隼瀬の作った蕎麦を食べて年を越す3人であった。

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