結婚式



2006年 12月25日



四高第2体育館で行われる2組合同結婚式の当日。今日は一日かかるので、隼瀬達はみやこも一緒に連れてきて、彼女もいつもと違う格好のパパやママ達に少し戸惑いつつも、心做しか楽しみな様子だ。して、葛西家、斎藤家、三森家の両親達が挨拶を交わしたりして、いよいよ式本番が始まって、純白のドレスを着た3人の新婦がそれぞれ父親とヴァージンロードを歩いてくる姿を感動して、目に焼き付ける新郎達。



「充希、僕もう泣きそう」「俺もたい」



そして、新婦達は父親から新郎に引き渡され、夫婦達と仲のいい広海が神父役を務めてそれぞれに言葉をかけ、充希も咲良も隼瀬も冬未も暁美も皆に聞こえるような大きい声で愛を誓いますと宣言して、指輪も交換して皆の前で誓いのキスをして、祝福の大歓声が上がる。そして、式は披露宴に移り、同じクラスの気心知れた友人達に改めておめでとうおめでとうとたくさん声をかけてもらう新郎新婦達。



「こぎゃん皆に祝ってもらえて、本当に僕達幸せね」



「そうねえ・・・?」



ふと、暁美と隼瀬の父の孔が隼瀬を見ながらこちらに来て冬未がどうしたんだろうと思っていると、彼は真剣な顔で隼瀬に告げる。



「これから、暁美ば頼んだぞ新郎」



彼の父親でもありながら、新婦の父として、亡くなった前妻が残してくれた大事な娘をお前に預けるんだから頼んだぞと告げる孔。その思いに暁美と隼瀬はもちろん、冬未も涙して、咲良と充希ももらい泣きしてしまう。そして、隼瀬も父の思いに応え、力強く任せてと頷き涙を拭って、改めて2人の妻にこれからずっとよろしくお願いしますと告げる。



「「こちらこそ、一生、あなたを愛し続けます」」



そう言って、それぞれ隼瀬の手を力強く握る2人。それを見て、咲良も充希に改めて言葉をかける。



「充希、これから色々苦労かけるかもしれんばってん、私はあなたをずっと、命尽きるまで一途に愛し、守り通します。だけん、充希もずっと・・・ついてきてください」



「咲良・・・うん、苦労とか心配とか俺もいっぱいさせるかもばってん、あなたの婿として一生・・・この手は離しません」



2組ががっちり手を握って愛の言葉を囁きあう様子にクラスメイト達からもおおと声が漏れる。そして、この披露宴ではそれぞれの親と担任の芙美子先生によるスピーチも用意されており、お色直しの後、咲良の父、冬未の父の亮、芙美子と順番に来て、最後となる隼瀬と暁美の父、孔のスピーチを隼瀬と冬未、暁美、みやこも一緒に聞く。



「えー、まずは隼瀬、暁美、冬未ちゃん、この度はおめでとうございます。ここにいる皆さんも本人達から聞いてのとおり、新郎隼瀬と新婦暁美は姉弟でもありますが、冬未ちゃんと3人、昔から仲が良く隼瀬は小さい頃からよく「お姉ちゃんとふうちゃん、どっちも好きだけんどっちとも結婚する」と言って、息子はその夢を今回叶えた形です」



「冬未、僕そんなん言いよった?」



「なんとなく覚えとる気する、幼稚園くらいの時」



そして、暁美と隼瀬姉弟の昔の話、幼い頃からずっと見てきた冬未の話もして、孔は最後に3人の子達に幸せになれよと言ってスピーチをしめる。暁美も隼瀬も冬未も、咲良も充希も今日はいっぱい泣いて笑って、ひとまず式と披露宴は大成功に終わって、この日の事を前々から準備してくれた芙美子に新郎新婦達と両親達が深々と頭を下げる。



「いえいえ、私はただ咲良ちゃんや充希くん、隼瀬ちゃんや暁美さん、冬未ちゃんに喜んでもらえたならそれで・・・それと、この後改めてクラスの皆だけでお祝いしたいと生徒達が言うてて、もうちょっと息子さん娘さんお預かりしてよろしいですか?」



その息子や娘達の友人の思いに感激し、勿論と答える6人の親達。そして、みやこも冬未の両親が連れて帰って、隼瀬達はいつもの教室に戻り、改めてクラスだけのお祝い会が開かれる。



































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