亮が隼瀬を気にかける理由



学校での結婚式を間近に控え、皆の前で暁美の事も話した後、隼瀬達の暮らすアパートに冬未の父、亮が訪れていた。



「いよいよ来週か。冬未もあきちゃんも白いドレス姿楽しみね」



「てかお義父さん、なんで普通に暁美(いつまでも姉ちゃん呼びだと関係的にあれなため、名前呼びになった)ん事も受け入れれるんね」



「だって、僕もはあちゃんの気持ちなんとなく分かるし。姉弟だろうが好き同士ならしょんなかたい。僕もはあちゃんのごつ覚悟できたら姉ちゃんもあん時・・・・・・」



「お父さん?」



「あ、んね、昔ん話。ほんではあちゃん、2人の相手で無理したらダメよ」



「うん、てかなんでお義父さん、お義母さんもばってん、いつも冬未より僕の事気にかけてくれると?」



「そうたい。私が実の娘てから」



「まあなんだろね、冬未もいっちょん気にならんわけじゃなかばってん、はあちゃんな昔の僕見よるごたっでほっとけんとよね」



「確かに隼瀬はお父さんと性格とか似とるばってん、やっぱ自分達と境遇重なるけん?さっきちらっと言いよったけど、そのお父さんのお姉ちゃんになんがあったと?」



「それ僕も気になりよった。暁美、なんか知っとっと?」



「・・・亮おっちゃん、もう話してよか?」



「うん、まあいつまっでん隠し通せんし。僕から話すよあきちゃん」



そこから亮は、今の冬未と隼瀬と同じ歳の頃に、自分と春美、3つ上の自身の姉の間に色々あった事。春美も受け入れようとしていたが、自分が覚悟ができず、そうこうしているうちに姉は自分達の前から姿を消してしまい、どこにいるか、何をしているかもそれから20年経って未だ分かっていない事を話す。



「春美さんも冬未んごつ決断しとったつに、完全に僕が優柔不断のせいで姉ちゃんは・・・だけん、あんた達には3人で本当に幸せんなって欲しいとたい」



「そぎゃん事が・・・もう探す手段もないと?」



「お父さんもお母さんも捜索願も出したし、役所も色々調べてもろたばってん消息はずっと・・・冬未が産まれた時も、もしかしたら帰っとるかもしれんし、赤ちゃん見て欲しいなと思ってじいちゃん達に聞いてみたばってん、あん人なんも残さんで本当に消えたけん・・・・・・」



いくら当時が今の時代より個人情報も調べやすかったとはいえ、本当に忽然と姿を消した人物を何の手がかりもないまま探すのは難しく、今まで来てしまったと後悔の涙を流す亮。そして、そんな記憶から暁美の隼瀬への思いに気付いた時、亮は何としても応援してやろうと決めていたのだ。



「暁美も、もし僕が覚悟決めんだったらそうしとった?」



「多分ね・・・あくまでお姉ちゃんとして、あんた達には幸せになって欲しいて思うやろし。ばってんそしたら結局あんた達泣かせてしまうか」



「「うん」」



「お姉ちゃんおらんくなったら絶対泣くよね」



「うん、暁美もおらんと僕も冬未もやだもん」



「あんた達・・・」



それだけ自分のことを思ってくれる隼瀬と冬未に、大丈夫、私はずっと一緒よと言って抱きしめる暁美。その姿に20年前の姉の面影を重ね、泣きながら微笑む亮であった。









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