焼肉デート



隼瀬と冬未を学校まで迎えに行って帰ってきて、2人に親に事情を話して応援された事、その時聞いた自身の出生の話を告げる暁美。



「そっか、つまり姉ちゃんと僕はお母さんが違うんか」



「まあ私も実のお母さんの事とかお父さんと2人ん時とか覚えとらんし、今のお母さんがお母さんとしか思わんばってん」



「そっか、前にお姉ちゃんと隼瀬はなんで9歳も離れとっとてお義母さんに聞いた時、昔に色々あってねて濁されたばってんそぎゃんこつだったつか」



「うん、まあ親に認められたしひとつ悩みは減ったね」



「そうね、実は私もうちん両親に事情話したばってん、隼瀬がよかならって同じごた感じだったよ」



「「なんか想像つくな」」



いつも何故か隼瀬の事を第一に気にかけてくれる冬未の両親ならそう言うだろなと思う姉弟。



「まあこれで少なくとも親達ん前では堂々とできるてわけか、よかった。僕も黙っとんの辛かったし」



「そうね、ほんでもう来月には学校で結婚式か・・・あ、隼瀬ちょっと」



何かを思いついた様子の冬未が、隼瀬に耳打ちし、彼はそれを聞いて驚くが、そもそも自分達の関係は普通じゃないしそれもありかもなと納得し、冬未の計画に乗るが、一応皆が混乱しないように芙美子先生などには根回ししておこうと話す。



「なんね、あんた達なんヒソヒソしよっとね」



「ふふ、なんか今日お姉ちゃん綺麗ねって隼瀬が」



「なっ、あんた直接言わんね」



「いやいや冬未、今日「も」たい。いつもいつも言うとしゃが飽きるど?だけん趣向凝らしてみたったい」



そう言ってえへへと笑う隼瀬に歳の割に純情なハートをバチバチに射抜かれる暁美。そして、咄嗟についた嘘だが暁美ばかり褒められても癪なので自分も張り合う冬未。



「隼瀬、私には?」



「冬未も、いつも綺麗よ」



「えへへ、ありがと。隼瀬もいつもかわいかよ」



「私達ん事平等に扱ってくれるとこ、好きよ」



「あ、ありがと2人とも・・・」



で、ひとしきり褒めあって、この日の夜は外食でも行こうかとなって、焼肉を食べに来た3人。



「ならさしより盛り合わせと・・・あんた達も食べたいのあったら遠慮せんで追加せれよ」



「「はーい」」



で、言われた通り好きなだけ注文する隼瀬と冬未にやっぱ10代の食欲すげえと思いながらも、どこか幸せそうに2人を見つめる暁美である。



「冬未ちゃん、隼瀬、改めて迎え入れてくれてありがとう」



「なんね急に改まって、お姉ちゃん死ぬんね」



「冬未ちゃんあんたちっとは言葉選びね・・・そぎゃんとじゃなかばってん、なんかふと言いたくなったったい」



「まあ冷静に考えたら僕達だいぶ頭おかしい事しよるしね」



「ほんと冷静に考えたらそうよね・・・ばってん私はお姉ちゃんも隼瀬も幸せになって欲しいけんこうしたわけだし悔いはにゃあね」



「私もよ」「僕も」



別に誰に何を言われようと、自分達が選んだこの形に3人とも後悔は全くなく、一生この関係を貫き通すつもりである。なお、暁美は以前できた彼氏と別れる際、全て正直に事情を説明し色々嫌な事も言われたが、それでも自分が選んだ道だからとその事についても後悔はしていなかった。と、たまたまこの日ここでバイトしていた咲良に話を聞かれ、隼瀬達の親友だから言いふらしたりはしないだろうと全てを話す3人。



「なるほど・・・凄いね隼瀬ちゃん、2人も同時になんて」



「え、いいんちょ引かんと?」



「まあ隼瀬ちゃんよか男だし、こぎゃんこつくらいあっども。お姉さん、隼瀬ちゃんば一層大事にしてやってください」



「うん、ありがとう咲良ちゃん、みっちゃんと仲良くね」



「はーい、ではご夫婦3人水入らずでごゆっくりどうぞ〜」



咲良のあまりの飲み込みの速さに、なんだあいつすげえ・・・と呆気に取られる隼瀬と冬未。そして、この焼肉デートの後、遅くまで空いているスーパーに買い物に行ったりして帰る3人。

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