因果



前回からみやこを連れて実家へ帰ってきている隼瀬達。そのみやこを膝に乗せたままうとうとする隼瀬が倒れないように自分を枕にして横にすると、みやこもパパのお腹の上に移動して再び目を閉じる。と、覗きに来た春美がその光景を見てわーもぞかー(きゃー可愛い〜みたいなニュアンス)と言って携帯でカシャカシャ写真を撮りだす。



「ちょ、お母さん、音で起きるたい」



「ごめんごめん、だってかわいかっだもん。それにしてもはあちゃんて昔からずっとかわいか顔しとるよね」



そう言って娘の膝で寝ている婿に、小さな子供にするようにスリスリする春美。



「娘ん旦那に何しよっとねきしょくん悪か」



「だってほんと、こぎゃんかわいか息子欲しかったもん」



「もう息子んなるたい」



「ふふ、そうね。そういや最初にこっちに越して来た時ね、はあちゃんがあんたと同じ誕生日で血液型も同じとか聞く前から、この子冬未とくっつくだろなてお母さんもお父さんも思たつよ」



「それ美香おば・・・お義母さんもお義父さんも私ば初めて見た時そう思たて言いよったばってん、そん感覚なんね」



「なんだろね・・・親の直感的な?」



「ふぅん、すぎゃーね親って」



「まああんた達も子供産まれたらわかるかもね。孫はまだ?」



「いやいや、私達まだ高校生で籍もまだなんだけん!」



「ふふ、冗談たい。あんたががっついてから調子乗っとらんか心配だったばってんちゃんとしとっとね」



「当たり前たい。てか親にそぎゃん事情把握されとんの恥ずかしすぎる」



「まああんた達が直接言わんでもあきちゃんと咲良ちゃんのツーカーなっとるし」



「あいつからか・・・まあ確かに隼瀬は男子にしては性欲弱いけん私がいつも襲うばってん・・・・・・って言わすんな!」



「あんた自分から言いよったい。大体あんたも「私の隼瀬がこぎゃんであぎゃんで」とか学校でも自慢しよっとだろも」



全くの図星で、何も言い返せない冬未である。実際、彼女は咲良や充希、育美なんか以外の友達と話す時も隼瀬の話ばっかりで若干呆れられているのだ。ちなみに隼瀬は言うほど冬未の話ばっかりするわけでなく、そんな奥さん持って大変ねと同情されていた。



「隼瀬モテるし私のもんだってアピールのためにしよるだけで・・・」



「やっぱりね、あんた私ん子だもん」



「それどぎゃん意味ね」



「お母さんとお父さんもあんた達と同じって事。まあ誕生日まじゃ一緒じゃなかばってんが」



「え、じゃ、じゃあみっくんが言いよった昔に四高で結婚式したカップルて・・・」



「そうよ?あきちゃんには話しとったばってんあんた達聞いとらんとね」



「聞かんよそぎゃんと・・・ほんで、お母さんも10代ん時私と同じ事しよったわけ?!」



「まあお母さんも若かったけんねえ。あっく・・・お父さんもはあちゃんのごつモテよったし」



そしてその自分と隼瀬にそっくりな経歴を聞いて、何やら不思議な力を感じゾクッとなる冬未である。と、ずっと喋っている親子の声に隼瀬も目を覚まして、彼もその話を聞く。



「お義母さんそれほんなこ(ホンマ)?」



「うん、だけん今んあんた達見よっとしゃが20年前の私達ば見よるごつあるもん」



「ほんで、私と隼瀬が今こぎゃんなっとるてなんかちょっとえすかよね」



「えー、僕はなんかそぎゃんとロマンチックに思うばってんね」



その隼瀬の台詞に、本当こいつ乙女だよなと思う冬未と、昔に亮が同じように「僕達ってなんかロマンチックだよね」なんて言っていたなと思い出す春美。












  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る